シティ・ポップの源流、70年代後半の名曲を本城和治と語る

Good-Bye横須賀 / 網倉一也

田家:1978年5月発売。網倉一也さん「Good-Bye横須賀」。詞曲は網倉さん自身で、アレンジは瀬尾一三さんです。さっきのピコが72年、73年で、この網倉さんが78年。間に5年、6年空いているのですが、この間にいろいろな名盤、アルバムを本城さんはお作りになっていて、そのアルバムの話が来週ということになります。この曲を選ばれているのは?

本城:男性のシンガーソングライターは私、あまりやってないのですが、彼は非常に良いメロディを書くんです。アルバムを2枚作ったのですが、残念なことにあまり成功しなかった。ただ、作家としてはいろいろな人に曲を提供して、ヒット曲を十分書いているんですけれども。郷ひろみさん始め、柏原芳恵さんとか。やっぱり、作家向きの人と、アーティスト向きの人といますね。作家向きだったんだなって、今思えばね。これも良い曲で、横須賀とか、神奈川県の有線の中ですごくヒットしたのですが、なかなか全国的には売れなかったんです。

田家:やっぱり、作家向きの人と自分で歌って表に出て、パフォーマンスもして、それで曲が活きるみたいな人もいるんですね。

本城:「夜のヒットスタジオ」なんかに出したんですけどね。やっぱり、出すべきじゃなかったかなって反省しちゃったんですけど(笑)。非常に良い曲を書く人間だからね。声もいいし、惚れちゃうんですね。そういうアーティストには世の中に紹介したいという気が。それでアルバム作りになるんです。

田家:本城さんご自身も作曲されているわけで、作曲家としての物差しはどこかにあるんですか?

本城:多少あるかもしれませんね。それと、その時代に合っているかどうかということもありますけどね。これもちょうど、まだウエストコーストロックが全盛時代ですから、そういった意味では完全に合ったものにはなっているんです。

田家:でも78年頃というのはやっぱり、80年代みたいなことがチラチラ見え始めてたでしょ。

本城:うん。時期でもありましたからね。そういった意味では時代の先を行っていたわけでもなかったですよね。

田家:80年代ってどんなふうに見えてたんですかね。

本城:あまりはっきり見えてませんでしたね。どんどん音楽がデジタル化して、アコースティックなものの良さがなくなっていくのは、私はあまり好きじゃなかったんです。

田家:ああ、なるほどね。次の人は80年代を予感させた1人になるのではないかと思ったりもしていましたが、本城さんが選ばれた今日の8曲目。1979年4月発売。山本達彦さん「ある日この夏~TWO WAY SUMMER」。

Rolling Stone Japan 編集部

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