GSとカレッジフォークの仕掛け人・本城和治と振り返る、ジャンルを越えた名盤



田家:本城さんが選ばれた今日の1曲目。1969年11月発売、ザ・テンプターズの8枚目のシングルにもなりました。『ザ・テンプターズ・イン・メンフィス』から「エブリバディ・ニーズ・サムバディ」。アルバムがメンフィス録音だった。

本城:そうですね。テネシー州のナッシュビルで森山良子のレコーディングをやる話が決まって、それが発展してどうせやるなら同じ州のメンフィスで。ザ・テンプターズはヒット曲がたくさんあったので、ボーナス的に海外旅行に連れて行く的な(笑)。で、アレサ・フランクリンとか、ウィルソン・ピケットなどR&Bのメッカでもあるし、ブルースの発祥地でもあるし、プレスリーの世界でもあるし。ザ・テンプターズもブルース、R&Bがもともと好きなグループでした。ただ、結局、ザ・テンプターズの他のメンバーはロスで遊んでいただいて、ショーケンだけ現地に連れてきた。

田家:ミュージシャンは、これ、ザ・テンプターズじゃないですよね

本城:これはメンフィスの腕利きのミュージシャンを使って、ショーケンがソロで歌いました。1曲だけリーダーのヨッチンがギターを弾いてますけど、あとは全部コテコテのメンフィスサウンドです。

田家:海外録音は本城さんにとって何回目ですか?

本城:ナッシュビルとメンフィスで、2週続けてやって、これが最初です。

田家:初の海外録音がこれだったんだ! 海外での話をもう少し伺ってから次の曲にいきたいと思うのですが、初めてだと周りにそういう経験のある人、いなかったわけでしょう?

本城:まあ、海外行ったのは初めてじゃなくて、アメリカは2回目で。スタジオへ入ったのは初めてなんですけどね。実際の現場のディレクターみたいな作業は現地のディレクターがやってくれました。歌入れは私がやりましたけど、現地のミュージシャンにいろいろな指示を出したりするのは、現地のディレクターに全部やっていただいたので。こちらでデモテープを録って、それを事前に送って、向こうでアレンジしてもらったり、曲によってはブラスのアレンジを入れてもらったりだった。

田家:次はさっきの話にも出ましたが、森山良子さんがナッシュビルでやっている、このアルバムからお聴きいただこうと思います。1969年12月発売。森山良子さんの『森山良子 イン・ナッシュビル』から「恋人」です。

Rolling Stone Japan 編集部

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