金原ひとみとMy Hair is Bad椎木知仁が語り合った、互いの表現と嗜好品

 
そんな2人の共通点はお酒とタバコの嗜好品。金原は小説を書いているとき「浮遊するぐらい飲んで、ちょうどいいところで漂い続ける」と語った一方、椎木は「1缶飲んだら本当に馬鹿になっちゃうので何も思い出せなくなっちゃうんです」と作詞時にはお酒を飲まないと、それぞれのスタンスを語った。

また、タバコに関して金原は「起きてすぐだったり、ご飯の後とか小説を書いていて煮詰まった時は一瞬ちょっと席を立って外や換気扇の下で吸ったりする」と語り、椎木も「要所要所、特に制作中とかで煮詰まったときは、外で吸いますね」と創作時の気分転換に嗜好していると語った。

そして、先日第57回谷崎潤一郎賞を受賞した金原の小説『アンソーシャル ディスタンス』について話題が及んだ。「ライブがどんどんなくなっていった去年の3、4月頃に自分が感じたショックをもとにして書いているんです。あの時は本当に屍のようで、あらゆるものを溜め込んでいましたね。音楽好きな人とか、ライブによく行く人にぜひ読んでもらいたいです」と語った。

その後も椎木がコロナ禍に自炊を始めた話や、椎木がお笑い芸人のスタッフになりたかった話など、やわらかい空気感の中でトークは進んでいった。トーク終了直前、それぞれ訊いてみたいことを問われると、金原から椎木への質問が投げられた。

金原:「フロムナウオン」がすごく好きなんですけど、あれって事前にどのくらい歌うことを考えているんですか?


椎木知仁(photo by 大童鉄平)

椎木:「フロムナウオン」は、僕がライブの時に4分間即興して歌う曲なんですけど、事前に考えていくと言葉が出なくなっちゃうんですよ。

金原:えー! じゃあ、あれは本当に即興なんですか?

椎木:ある程度テーマみたいなものを、「フロムナウオン」を演奏する3、4曲前くらいから思い浮かべ始めていて、曲中に一気に出てくるんです。

金原:それであんなにダーって滝のように言葉が出てくるんですね。

椎木:もう10年ぐらいやっているんですけど、一度大きな舞台に立つとき、ビビって全部台本を書いてみたんですけど、3行目ぐらいまでいったら何も出てこなくて。やっぱり書いちゃダメなんだって思ってから即興にしてますね。

金原:私、あれを全て集めて一冊の本にしてほしいぐらい好きなんです。

Rolling Stone Japan 編集部

 
 
 
 

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