性行為中に避妊具外す「ステルシング」罰する新法案、米で成立間近

Photo Illustration by Nikolas Kokovlis/NurPhoto via Getty Images

現地時間9日、米カリフォルニア州議会のクリスティーナ・ガルシア議員が提出した法案が可決され、ギャビン・ニューサム州知事の承認を待つばかりとなった。法案AB 453号は「同意なきコンドームの除去」をある種の性的暴行とみなし、したがって「許可なくコンドームを外すことは不道徳であるだけでなく、違法であることを確約する」ものだと、ガルシア議員はツイートした。

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この法案で、パートナーの同意なくコンドームを外しても罪にはならないが、民事訴訟や民事罰の対象となる。州知事が法案に署名すれば、AB 453号は「同意なきコンドーム除去」を実質的に違法とする全米初の州法となる。

パートナーの同意なくコンドームを外す行為は、広く「ステルシング」と呼ばれている。この用語は2017年4月、当時コロンビア大学法学部の学生だったアレクサンドラ・ブロドスキー氏の論文によって市民権を得た。『Sexual Justice』の著者でもある同氏は、こうした行為の被害を受けた被験者――大半が女性――にインタビューを行った。ブロドスキー氏はローリングストーン誌との取材で、被験者らは行為を特定する言葉を持ち合わせていなかったが、全員が自分の境界と同意を著しく踏みにじられたと感じていた、と語った。「『これって悪いこと? 私は悪いことだと思ったんだけど』と苦悩している人が大勢います」とブロドスキー氏は言う。「害を法的に認めることは、(ステルシングによる)犠牲者の経験を正当化する一歩になると思います」

ブロドスキー氏の研究以前から、ゲイ・コミュニティ内では「ステルシング」という言葉はかなり知られていた。とくにHIV陽性の男性が、こっそり、または同意なくHIV陰性の男性を能動的に感染させようとする場合に使われてきた(ちなみにPornhubのようなサイトには、ステルシング動画が驚くほど多数存在する。もっとも、同サイトの新たなガイドラインではアップロードするユーザーに身元証明とモデル・リリース[訳注:被写体が著作権を放棄することを認めた書類]の提出を義務付けていることからも、これらの動画は実際の行為を描写しているというよりは、ステルシング妄想を抱くユーザーに向けたものとみられる)。女性とセックスする男性の間でも、パートナーの同意なくコンドームを外す行為はそれなりに知られている。2014年の研究によれば、若者男性の約10%がコンドームに穴をあける、またはパートナーに内密で、あるいは同意なしでコンドームを外すなど、何らかの形で工作をしたことがあるという。

Translated by Akiko Kato

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