「泉谷しげる50周年 俺をレジェンドと呼ぶな」本人と振り返るエレックレコードの名盤



田家:これも代表曲、普遍的な1曲(笑)。

泉谷:そうですね(笑)。これは岡本おさみさんの詞をどこもアドリブもせず、ちゃんとやっている。だから、俺としてはこれがワハハ本舗であってほしかったみたいなね(笑)。つまり何を言いたいかと言うと、岡本おさみさんは重厚に作ってくれって言ったんですよ、この歌詞を。

田家:あ、歌詞を持ってきた時に。

泉谷:そうそう。すごいブルースな感じでって。ふざけんなこの野郎と。権力と戦うような、政治と立ち向かうことが当たり前の空気な時代だったんだから、そういう責任を負わせやがってみたいな。

田家:こいつの曲だよみたいなね(笑)。

泉谷:そう。で、自分はコソコソとしているわけでしょ。卑怯者! ですよね。

田家:でも、こういうコミカルなみんなが笑える、楽しめる歌にしたからこの曲は生きていますよね。

泉谷:結果的には軽くしたら、例えば警察にお世話になるようなことがあったらさ、笑ってくれると思うんだよね。警察官も。「じゃあ、お前もやってみろこの野郎」とかさ。「俺たちの前で歌ってみろこら」ってさ、絶対冷やかしてくれるような気がしてるのね。

田家:それが音楽のおもしろさでもあるし。

泉谷:そうなんだよ! 権力者も笑わせないと。

田家:高田渡の流れがここにあるという(笑)。

泉谷:そういうことなのよね。自分だってずっと1個の思想に凝り固まっていけるほどの自信があるわけじゃないし、ないんだから、大体。気分はあるけど、思想としてはないんで。エンターテインメントなんで、そこは。上も下も右も左も楽しまないと。

Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE