Qアノンの英雄となったニッキー・ミナージュ、極右や反ワクチン派が支持する理由とは?

2020年2月12日、ニューヨーク州ニューヨークシティにて ニューヨーク・ファッションウィークで、マーク・ジェイコブス2020年秋冬コレクションの会場を後にするニッキー・ミナージュ(Photo by Gilbert Carrasquillo/GC Images)

Qアノンの保守的思考に毒された人々が、ハリウッド社会で幅を利かせ、アナルセックスをよしとするニッキー・ミナージュのファンだとは一見考えにくい。ところが西暦2021年、時代の流れは変わったようだ。先日彼女がCOVID-19のワクチン接種に消極的な投稿をSNSにあげた後、極右陰謀論者は大挙してミナージュ支持に回り、自分たちの意見の輝ける象徴として、また大衆を覚醒させる手段として、彼女を担ぎあげた。

「アノンの民よ、ニッキーと彼女の家族の無事を祈りたまえ」暗号メッセージアプリTelegramで人気のQアノン・スレッドには、こんなキャプションつきでミナージュを擁護するミームが最近投稿された。ミームには大きな翼の天使の画像と、「神の御心に従う1人は、そうでない100万人よりも強い」という言葉が添えられている。別の投稿では、ミナージュのSNSの投稿に残されている「パンくず」(breadcrumbs)――それらしき「ヒント」を指す陰謀論者の隠語――を解読している。「ニッキーは昨晩Twitterで、『キューティ・ブロンド』のように全身ピンクでホワイトハウスに乗りこんで白黒つける、と発言した」と、とあるユーザーは投稿している。「興味深いと思ったのは、『キューティ・ブロンド』の主人公の名前がエル・ウッドだということ。ということは……L.ウッド。もしかしてリン・ウッドのこと?」これは数々の極右陰謀論を吹聴しまくった、トランプ前大統領の元弁護士のことを指している。

ミナージュは先ごろ、ワクチン接種を義務付けるメット・ガラには出席しない、と2200万人以上のフォロワーに向けてツイートし、話題を集めた。コロナウイルスのワクチンについては十分調べ上げていないから、というのが彼女の理由だ。また、いとこの友人がワクチンを接種したあと勃起不全になり、睾丸が腫れたというまったくのデタラメを主張した(トリニダード・トバゴの保険大臣はこの主張に公然と反論し、「こうした虚偽の主張を確かめるのに、我々は昨日あまりにも時間を無駄にしてしまった」と発言した)。

Translated by Akiko Kato

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