ビリー・アイリッシュへの共感
ー今年のグラミー賞ではビリー・アイリッシュとともに脚光を浴びましたね。
リンゴ:ああ、相当奇妙だったな。辺りをぶらぶらして「やあ、調子はどうだい?」って言って回るほうが性にあってるんだが。実際は車に乗って、前日に検査を受けて――まったく、今じゃそんな世の中だ。車に乗って、会場に直行して、車を降りて、楽屋に入って、ステージにあがって、また車に戻る。リアルな時間はまったくなかった。でもなんにせよ、俺は彼女が大好きだ。あの子はすごい。あの子の態度が気に入った。マイリー・サイラスも好きだ。ちょっとした反逆児が好きなんだよ。わかるだろ。
ー2人もあなたの大ファンですよ。あなたがビリーに賞を手渡した時、彼女は兄と一緒にあなたの前で深々とお辞儀をしていました。あなたの音楽はあらゆる世代に響いています。
リンゴ:まあ、それが音楽というものさ。つまりビートルズを例にすれば、前に誰かが2枚の写真を見せてくれた。1962年の8月に俺が加入した時のと1969年8月のもの、4人全員揃って撮った最後の写真と最初の写真だ。それだけ短い期間だったんだ。でも俺たちは今も廃れていないし、音楽もいまだに素晴らしい。今じゃ、俺たちは一種のヘヴィメタルだった、とも言われてるんだぜ!(愉快そうに笑いながら)面白いことを言うよな。
だがビートルズの音楽は今も健在だ。たくさんストリーミングもされている。今この瞬間にも別のボックスセットがリリースされ、さらに今後も続いていく。最初はアナログ盤、それからCD、今はストリーミング。他に新しいものが発明されるとすぐにまたリリースされるんだ! でも俺が好きなのは、大勢の若い子たちが「この音楽気に入った、この曲好きだ」って言ってくれることだ。どの世代もビートルズに夢中になっている。どんな形であれ音楽に興味を持てば、ビートルズは避けて通れない。それだけすごいバンドだったんだ。
ーリマスター版の『レット・イット・ビー』を聴きましたが、あなたのドラムはかつてないほど鮮明に、大きく聞こえます。
リンゴ:面白かったよ――最初にリマスターしたのは「イエロー・サブマリン」だった。ポールと一緒にアビイ・ロードに行って聴いたんだが、「あれをやったのは誰だ? ありゃ何だ?」って感じだった。それだけクリアなんだよ。でもドラムは――リマスタリングのおかげでドラムが鮮明に聞こえるようになった。大勢の人から言われたよ、「ワオ、あなたがあれを演奏したんですか? 本当にあなた?」 そう、あいにく俺さ。気に入ってるがね。
60年代はモノラルだったから、何か削るとしたら、たいていはバス・ドラムだった。初期の録音にはバス・ドラムはほとんど入っていない。でもそれが当時のやり方だったんだ。今はクリアに聴こえる。いいことだよ。