Park Hye Jinから辿る韓国シーン最前線 K-POP隆盛の裏で何が起こっている?

韓国ミレニアル世代が歌う孤独と共感

こういった、日常のなかで感じる漠然とした不安や寂しさ、誰かに押し付けるわけではなく 「自分はこうなんだ」とスタンスを表明するリリックは、韓国ミレニアル世代のアーティストの特徴ではないかと思う。

例えばYaeji。先述した「Drink I’m Sippin On」でフックとなっているリリック「그게 아니야(そうじゃない)」。ここには他の人が自分を誤解していても、私は私をわかっているから関係ないというメッセージが掲げられているという。



バンドではHyukohが2014年にリリースした「wi ing wi ing」が大ヒット。広く受け入れられたのは、人間関係、寂しさ、虚しさなどが綴られた歌詞に、どこかで自分を重ねてしまうような共感性の高さがあったからだ。

위잉위잉 하루살이도(wi ing wi ing カゲロウも)
처량한 나를 비웃듯이 멀리 날아가죠(わびしい僕を嘲笑うかのように遠くへ飛んでゆく)
비잉비잉 돌아가는(ぐるぐる回る)
세상도 나를 비웃듯이 계속 꿈틀대죠(世界も僕を嘲笑うかのように止まることなく蠢いている)



Park Hye Jinの歌詞も同様に、誰かに対して言葉にできなかった感情を共有しているような、代弁者であり身近な存在のようなリリックが、心地よく耳に入ってくる。

彼女がインタビューで語っていた「アジア、韓国から来た女性ではなく、私はただ私です。 Park Hye Jinなんです」という言葉。ミレニアル世代が発信する「孤独」や「寂しさ」「アイデンティティ」 は韓国国内だけでなく、世界中のユース世代が求めているものであり、Park Hye Jinはこれからカルチャー・アイコンとして、ますます飛躍していくのではないだろうか。

このあと12月には、振替公演となる初来日も控えている彼女。今年9月25日に配信されたBoiler Roomの動画では、『Before I Die』の楽曲を織り交ぜたライブパフォーマンスに加え、アシッドで骨太なテクノを展開。アルバムの作風とはまた違う、彼女のクラブへ求める音が詰まった最高のパフォーマンスであった。フレッシュで素晴らしい才能の、今後の活躍に期待したい。






Park Hye Jin
『Before I Die』
発売中
国内盤CD:ボーナストラック2曲収録、歌詞対訳・解説付き
詳細:https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=11964
配信・購入:https://fanlink.to/parkhyejinbeforeidie


박혜진 Park Hye Jin -JAPAN TOUR-
2021年12月3日(金)東京・渋谷 Contact Tokyo
2021年12月4日(土)大阪・住之江 BLACK CHAMBER
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