『風街とデラシネ』松本隆の作詞家50年を名曲の詞とともに振り返る



10月27日に発売になります2枚組アルバム『風街とデラシネ~作詞家・松本隆の50年』3曲目ですね。1973年9月に発売になった南佳孝さんのアルバム『摩天楼のヒロイン』の中の「勝手にしやがれ」。ジャズロックみたいな曲でしょ。南佳孝さんはもともとジャスをやりたかった人なんですね。このアルバムは松本さんが初めてのプロデュースのアルバムですね。詞も自分で書いている。「勝手にしやがれ」の中には〈風のナイフ〉という言葉がありました。“松本印”とも言える言葉ですね。ジャズロックなんだけども、歌詞の内容は日本。このへんが松本さんが当時から洋楽と邦楽について考えていた1つの証でしょうね。

はっぴえんどの解散コンサートが文京公会堂、1973年9月21日にありました。あのコンサートはメンバー4人が次に何をするか、お披露目のコンサートだったんですね。全員がプロデューサーとして1人のアーティストを育てていくんだというのが、当時の事務所、石浦信三さんというはっぴえんどのマネージャーがいて。『風街ろまん』に写真が載っている人なんですけど、彼がみんなに「そういうふうにしようよ」と言って、このコンサートに臨んだ。松本さんは鈴木慶一さんとは別のオリジナルムーンライダーズ、メンバー、プロデューサーでドラムも叩いているんです。南佳孝さんは彼がプロデュースするアーティストとして、この文京公会堂でデビューした。はっぴえんどの後をそれぞれどう生きていくかという解散コンサートがあったのですが、1973年は松本さんが作詞家になるとまだ決めていなかったんですね。迷っていた。その中で生まれたのがこのヒット曲、1973年10月発売チューリップの「夏色のおもいで」。

Rolling Stone Japan 編集部

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