松本隆がアイドル界・歌謡曲界に変革をもたらした70年代後半から80年代を辿る



80年代に入りました。1980年3月発売、竹内まりやさんのアルバム『LOVE SONGS』から「五線紙」。まりやさんがデビューするきっかけになったのが、鈴木茂さんの「8分音符の詩」を歌っていたことだったという話は先週ちょっと触れましたけども。まりやさんの代表曲「September」は作詞が松本さんで、作曲が林哲司さんですね。「September」が入ったアルバムがこの『LOVE SONGS』で、その中に「五線紙」が入っていた。松本さんはまりやさんからアルバムに詞を頼まれた時に、「8分音符の詩」を歌ってくれたことに対してのお礼の気持ちで、アンサーソングとして書いたと言っていました。「12弦ギターを抱いた大滝さんや細野さんが見え隠れしたんだろうね」とも言ってました。そして、「1人で作詞家をしているのが寂しかったんだろうね」という話もしてますね。80年代に入ってからは寂しがっている余裕もないくらいに忙しい。そのことが逆に寂しくしているという状況だったのかもしれないのですが。

松本さんの功績、80年代の歌謡曲を変えたこと。そこにはいろいろな要素がありまして、作曲家もそうですが、ミュージシャン、シンガーソングライターをいろいろな形で起用しているのが大きいですね。この話はこの後も続くのですが、今までのあらゆる作詞家との違いですね。で、70年代と80年代で松本さんのイメージがかなり変わります。80年代は女性の歌が天才的に上手い人。これは次の曲のディレクターが言われた言葉なんですが、70年代はむしろ男性のイメージが強かったということで、もう一曲70年代のアルバムをお聴きいただきます。埋もれた名盤、加山雄三さんの『加山雄三』というアルバムから、「湘南ひき潮」。

Rolling Stone Japan 編集部

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