ブリング・ミー・ザ・ホライズンが語る、「フューチャー・エモ」で若い世代と共鳴する理由

「重要なのはエモーションで、みんなが聴きたいのはリアルな音楽」

ー今の時代のポップ・ミュージックは、特にトラップやEDM以降、メロディのアプローチが大きく変わって、以前よりも複雑でクセのあるキャッチーなメロディに進化していますよね。「DiE4u」を聴くと、メロディ面でもモダンでコンテンポラリーなアプローチを意識していると思ったのですが。

オリー:もちろん僕は良いメロディが好きだからね。歌詞がどれだけ絶望的であっても、寝る時に「I’d die for」ってメロディを口ずさめば、もうまるで神様に向けて歌うアンセムみたいになるんだよ。だから、メロディ、歌詞、歌い方の三つはどれも重要で、それがすべて備わってこそ曲になる。確かに、音楽的には常に自分たちを前進させようとプッシュして、レベルを上げようとトライしてるね。フレッシュな音楽を作りたいから、「よし、ロックの入ったポップ・ミュージックを作ろう」「ポップの曲を作ろう」「ロックの曲を作ろう」なんて言いながら作ってるよ。しかも、ロックとポップ・ミュージックをブレンドして、それで二つの音楽が薄まってしまうどころか、二つの音楽ともエクストリームなものにしたいんだよね。

ーオリーは「DiE4u」のことを「フューチャー・エモ」と呼んでいますが、ハイパーポップやフューチャーポップ、エモ・ラップといった新しい音楽を意識した上でのことですか?

オリー:僕たちはずっといろんな音楽に影響を受けてきたんだ。バンドを始めた頃のシーンはスゴく健全なもので、キッズがDIYでメタルコアやハードコアの音楽を作って、自分たちでパブやクラブでライブをやってたんだ。あの時と同じようなエネルギーを今また感じるんだよ。ハイパーポップなんて、キッズがベッドルームでヤバい音楽を作って出来たもので、しかもスゴく自由なんだよね。自分のエモーションをコンピューターに込めて、そこから音楽が生まれてるんだ。もはやヒットを生み出すために、演奏技術を持ったミュージシャンである必要がなくなったのさ。重要なのはエモーションで、みんなが聴きたいのはリアルな音楽なんだ。今のキッズの作った音楽を聴くと、16歳でバンドを組んだ時のエネルギーがよみがえるんだよ。エモはこの8年ぐらいの間、死んでたとは言わないけど、盛り下がっていたよね。だけど今のキッズがエモを再発見して、ハイパーで強烈なエモーション、リアルな歌詞、ダークな世界観を全く新しいものとして受け入れてるんだ。音楽が今また新しく生まれ変わってるんだよね。だから今僕たちがこういう音楽をやるのは、時代に合ってると思うんだ。16歳の時の僕たちも、前の時代の音楽から影響を受けて新しい音楽をやろうとしてたわけだし。それに、「DiE4u」には16~17歳のキッズも関わってるんだけど、それもスゴくクールなことだと思うんだ。結成して4~5年経ってるロック・バンドから影響を受けるんじゃなく、キッズから影響を受けてるんだから。スゴくエキサイティングなことだし、ロックとオルタナティヴ・ミュージックの未来がスゴく楽しみになってくるよね。

ーオリーが最近、女性シンガーのdaineの「Salt」という曲でコラボをしたのも面白いですよね。daineが前に出していた曲はハイパーポップな曲だったのですが、「Salt」ではハイパーポップとロックが融合して、ここから新しい音楽が生まれているような印象を受けました。

オリー:僕も同意見だよ。あの曲が出来た時、僕も同じような気持ちにさせられたね。あの曲はPoison the Wellとかアメリカ中西部のエモ・バンドとか、僕が16歳の時に聴いてた音楽を思い出させるんだ。未来のどこかから来た音楽みたいに聴こえるんだよ。異なる音楽の融合によって、スゴくフレッシュなものが生まれて、「ワオ! 今までに聴いたことがない」って思えるものにすることはスゴく重要なんだ。例えば、ジャスティン・ティンバーレイクにしても、ポップ・ミュージックではあるんだけど、必ずフレッシュなサウンドが入ってるし、同時に、どこかノスタルジックなものも入ってるよね。daineの曲にはスゴく驚かされたんだ。僕たちがやろうとしてることの上を行くことをやってたからね。2000年代初期のバンドに影響を受けてるのは明らかなんだけど、進化してるし、スゴく自由にやってて、とにかくフューチャリスティックなんだ。



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