米航空会社のパイロットがワクチン義務化に反対、「接種か退職か」強要されたと主張

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バイデン政権がすべての国家公務員にワクチンの接種を義務付ける方針を発表した後、アメリカの航空会社の大半(実質的に政府の下請け企業)はそれに倣う形で、勤務にはワクチンの接種が必要とする旨を決定した。

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その結果、自身とその家族を守るためという名目でワクチンの接種を強要されたことに対する不満をソーシャルメディア上で吐き出す人々が現れた。しかし現在のところ、反ワクチン派の活動家たちによる働きかけの甲斐もなく、航空会社の従業員たちが大挙して退職するという動きは見られていない。

だが今なお、一部の人々はネット上で不満を吐露している。その1人であるパイロットのショーン・アンドリュー・ウォーカーは、先週公開したワクチン接種の義務化に対する不快感をぶちまけた滑稽な動画がきっかけとなり、保守派のメディアからもてはやされる存在となった。

「家族を養っていくための手段か、それとも選択の自由か。私はそのどちらかを選ぶよう強いられた」。南北戦争の再現映像をバックにアメリカの本質について語り始める前に、ウォーカーはそう述べている。彼はいわゆる「シフティング・ベースライン症候群」が、アメリカの根底にある自由という概念を破壊しかねないと述べ、脳の活動に関する疑似科学的な図を用いて自身の見解の正当性を主張している。映像の最後でウォーカーは、ワクチン接種の義務化に反対するパイロットたちのグループ、U.S. Freedom FlyersのWEBサイトを訪れるよう呼びかけている。

ウォーカーの動画は保守派の人々の間で話題となり、TikTokでは5万回再生を突破した。同ムービーは極右の活動家キャンディス・オーウェンズによってシェアされたほか、過去に盗用疑惑をかけられた保守系メディアの荒らし屋ベニー・ジョンソンは「こんなにも勇敢な声を聞いたのは何年ぶりだろう」とツイートした。ジョンソンとオーウェンズによるその動画についてのツイートは、2万回近くリツイートされている。

@cellsaucenutrition

I never thought in my life I would have to make this video. ##fightback #freedom #airlines

♬ original sound - Sports Performance Nutrition


ウォーカーは動画でワクチンの接種か退職のどちらかを選択するよう強要されたと主張しているが、それは事実ではない可能性がある。ウォーカーのLinkedInアカウントによると、彼はAmerican Eagle(現Envoy Air)で17年以上勤務し、現在はシカゴに住んでいるとされている(彼のTwitterアカウントではテキサス州パラダイス在住となっている)。一方で、ワクチン接種義務化への不満をぶちまけた彼のTikTokページでは、モトクロスでの事故から回復した後に彼がローンチした、パフォーマンス向上サプリを扱うブランドCell Sauceが所属先となっている。「当社のサプリメントは科学に裏付けられており、医師たちから推奨され、プロの人々によって効果が立証されています」。同ブランドのWEBサイトにはそう記載されており、ウォーカーが「医薬品を好まない」という但し書きまで見られる。

Translated by Masaaki Yoshida

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