ギタリストichikaとバレエダンサー二山治雄が見せた奇跡のセッション

The Session「Eclipse」-Melodies for Ballet,Ballet for Melodies-(©Alouette inc. )

10月15日、ギタリストのIchika Nito(以下、Ichika)と、バレエダンサーの二山治雄によるコラボレーション『The Session「Eclipse」-Melodies for Ballet,Ballet for Melodies-』が渋谷ストリームホールで開催された。

【画像を見る】ギター演奏とバレエの競演

IchikaはSNSの演奏動画をきっかけに世界から注目を集めるギタリストで、左手でベース、右手でメロディを奏でるピアノの原理を応用し、タッピングを駆使した繊細かつテクニカルなプレイが唯一無二の個性を放つ。一方の二山も17歳でローザンヌバレエ国際コンクールで1位に輝き、世界最大のバレエコンクール「YAGP」シニアの部で金賞を受賞するなど、やはりワールドワイドに活躍し、将来を嘱望されているバレエダンサーだ。Ichikaの妹がバレエダンサーであるという縁もあって企画が進められ、二山に声をかける形で実現したこの公演は、Ichika Nito名義での初めてのショウでもあった。

この2人に、こちらもローザンヌのファイナリストで、現在はシカゴのジョフリー・バレエで活躍する新井誉久が振付、元英国バーミンガム・ロイヤル・バレエの山本康介が舞踊監修で加わり、さらにステージには、様々なアーティストのレコーディングやライブに関わり、先日はMr.ChildrenとGLAYの出演が話題を呼んだ『UNITE01』でB’zのサポートを務めたことも記憶に新しいドラマーの青山英樹が参加。各界の第一線で活躍する名前が揃いつつ、異なるジャンルの実験的なコラボレーションだからこそ生まれる緊張感と驚きに満ちた、貴重な公演となった。

公演は三部構成で行われ、第一部はIchikaがメインのパート。ステージ中央の椅子に座り、歴史あるギターブランドIbanezから今年発表された日本人初のシグネチャーモデルICHI10を手にすると、おもむろにタッピングによる細やかなフレーズを弾き始める。そこから一転、衝動的にコードをかき鳴らすと同時に、二山がステージ袖から勢いよく飛び出してきて、ジャンプやターンを決めるという、なんともドラマチックなオープニングだ。

深いリヴァーブのかかった音色で幻想的な雰囲気を作り上げた「solitude」に続いては、7弦ギターに持ち替え、ここから青山も加わって、「have a nice dream」を演奏。寝そべっていた二山が途中で起き上がってステージに腰を下ろし、上半身のみの動きで楽曲を表現してみせたのは、コンテンポラリーならではの一幕だったと言える。


©Alouette inc.

ピックや弦の種類、演奏方法によって大きく異なるギターならではの「一音の情報量」を大切にするIchikaらしい、強弱を生かしたプレイの「insomnia」、ポストロック色を感じさせる「flowers」と、この日のために作られた新曲をメインに、リアレンジされた既発曲も織り交ぜながらステージが進行。歪んだ音色でシーケンスのギターとハモリを聴かせる「waves」はフュージョン風で、青山のリズムも徐々にアグレッシブさを増し、ツーバスも交えた後半は両者に共通するバックグラウンドのメタル要素も感じさせ、音楽的なふり幅を見せつけて第一部が終了した。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE