松本隆が描いたエロティシズム、80年代後半から90年代前半までを辿る

書籍『風街とデラシネ〜作詞家・松本隆の50年』

日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出していく。2021年10月の特集は「松本隆特集 第3弾 風街とデラシネ~作詞家・松本隆の50年」。第3週は日本のポップスに初めてエロティシズムを取り入れた80年代後半から、クラシックに日本語詞をつけた90年代前半を辿る。

こんばんは。FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」案内人・田家秀樹です。今流れているのははっぴいえんどの「風をあつめて」。1971年発売のアルバム『風街ろまん』の中の曲ですね。今月の前テーマはこの曲です。

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今月2021年10月の特集は「松本隆 特集第3弾 風街とデラシネ~作詞家・松本隆の50年」風街というのは言うまでもなく「風をあつめて」の入ったアルバム『風街ろまん』。『デラシネ』というのは2017年に出たクミコさんのアルバム『デラシネ』。松本さんが全曲を書き下ろしたアルバムとしては最新のものですね。デラシネというのは漂泊、漂流、根無し草、そういう意味があります。松本さんが自分の生き方を例えた言葉でもありますね。10月27日に『風街とデラシネ~作詞家・松本隆の50年』という本が出るんです。書いたのは私でありまして、本に合わせて同名のCDも出ます。

そのCDを使って、松本さんの50年をあらためて辿ってみようというのが今月の趣旨であります。同時発売されるCDは本の中で取り上げたアルバムの曲を中心に1アーティスト1曲でまとめた33曲のアルバムなんです。CDのキャッチフレーズは「読んでから聴くか、聴いてから読むか」です。先週は70年代から80年代に入ったところまで辿ってみました。やっと松田聖子さんで終わった。今週はその先です。

松本さんはアルバム作家ではあるんですけれども、シングルを軽視していないのもとても大きな特徴ですね。アルバムを1枚書くというのも、シングルの1曲が時代を変えていく。そういう必殺シングルがたくさんある。何しろ、ナンバーワンヒットが50曲以上ですから、トップ10入りが150曲。トップ10入りした曲を辿っていくだけでも何時間分の放送が必要になるんだという人です。そのシングルの中にもアルバム1枚分くらいのドラマがあったりする。アルバムはアルバムで10曲ぐらいなければ、綴れないストーリーがありながら、シングル1曲の中にもいろいろな情景が歌いこまれている。そんな代表的な曲をお聴きいただこうと思います。ラッツ&スター「Tシャツに口紅」。

Rolling Stone Japan 編集部

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