松本隆が描いたエロティシズム、80年代後半から90年代前半までを辿る

書籍『風街とデラシネ〜作詞家・松本隆の50年』





2枚組CD『風街とデラシネ~作詞家・松本隆の50年』Disc1の最後が「Tシャツに口紅」で、Disc2の1曲目が「探偵物語」。2曲目がこれなんですね。こういう順番に並べようとしたわけではないのですが、途中からそうなるといいなと思うようになってこうなりました。1984年3月に発売になった『EACH TIME』の中の「1969年のドラッグレース」。大滝さんとのコンビは『LONG VACATION』が今年40周年という形で、いろいろな形で取り上げられてました。『LONG VACATION』からの曲にしようかなと思ったのですが、2人のストーリーということだと、『EATH TIME』の方にロンバケ以上のドラマがあるかもしれないなと思って、この曲を選んだんですね。はっぴいえんどを結成する前、1969年に大滝さんや細野さんたちとドライブした時の模様が歌いこまれている。〈地図の通りに生きたくなかった〉というのはその後のそれぞれの生き方でもあるんでしょうし。

松本さんはこの曲の中で「ガソリンというのは才能という意味でもあるんだよ」というふうに言っておりました。2人の才能が今後どうなっていくのか。「この曲は大滝さんへの別れの手紙なんだ」と言っています。大滝さんと松本さんは永遠のライバル物語があるわけで、大滝さんがはっぴいえんどを組んだ後にナイアガラ・レーベル、自分のレーベルで作っていたアルバムは松本隆の否定だった。日本の歌謡曲の湿り気が嫌いで洋楽をやっていたにも関わらず、はっぴいえんどはウェットの音楽になっていた。これを排除しようとして、カラッとしたドライな音楽をやろうとしていたのがナイアガラだったという話を大滝さんが自分でもしているんですね。そういう過程を経て、ロンバケで再会して。ロンバケには大滝さん詞の曲もありましたからね。アルバム1枚、全曲松本さんでやってみて、これで一旦別れようというアルバムが『EATH TIME』その中の象徴的な曲でした。

松本さんの50年のキャリアの中ではやり尽くした時期、これで1回この人と離れようという場面がいくつかあるんです。松田聖子さんも1984年の9枚目のアルバム『Tinker Bell』で一旦離れるんですね。離れた後に松本さんは映画の監督をしました。その映画の主題歌、レベッカで「モノトーン・ボーイ」。

Rolling Stone Japan 編集部

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