清春が語る、ライブエンタメの当事者として感じた違和感

清春

五里霧中のコロナ禍で、新しいパフォーマンス表現の方法を開拓、継続してきた清春。ライブハウス支援のためのトークイベントに積極的に出演したり、配信ライブシリーズ「A NEW MY TERRITORY」では徹底してライブハウスでの収録にこだわり、自身のためだけでなく、音楽業界全体のための活動も目立つ。そんな清春がデジタルシングル3曲を連続リリースする。

【画像】清春がライブハウスのフロアまでを全面使用したライブを敢行(写真6点)

―今回はデジタルシングル3曲を定期的にリリースされるんですね。

そうですね。本当はまだ僕らのファンの世代的にはCDのほうがいいと思うんだけど。アルバムは今のところデジタルリリースする気はないんですが、去年3月にアルバム『JAPANESE MENU/DISTORTION 10』を出して以来、音源を出してないんですね。「A NEW MY TERRITORY」(毎月開催しているライブ音源ダウンロード付きの配信ライブ。以下「ANMT」 )では新曲を少しずつやっているけど、コロナ禍にたくさん曲が出来たので、まずはまだ披露していない「ガイア」という曲を1曲目に出しました。で、第2弾、第3弾とリリースしていく感じですね。2、3弾で出すのは、配信ライブすでに披露した曲です。

―10月16日に配信された「ガイア」は昨年出した前作『JAPANESE MENU』以降、初の音源になりますが、コロナ禍でライブが一時期止まっていた影響で『JAPANESE MENU』の曲はバンドでのライブ演奏はほとんどされていないですよね?

2~3回やったくらいですね。10月29日に恵比寿ガーデンホールでやる誕生日ライブでは久しぶりにDURANとKastuma(coldrain)で『JAPANESE MENU』の曲を演奏します。『JAPANESE MENU』のレコーディングでこだわった“ベースレス”でやります。やっと音源の形をなぞった演奏ができる感じですね。

―コロナ禍になってから清春さんは、現在も行っている「ANMT」の原型にあたる「TEST」というのを始めましたね。バンドではなくアコースティックの演奏でした。

世で言うところのアコースティック形態、演奏はもともと2008年くらいからやっていたんです。ただ、ウチが提示してるのはアコースティックではなく、ドラムなしの“リズムレス”。十分激しいけど、ドラムがいないことによって極論マイク無しでも歌がよく聴こえる状態に持っていける。この「TEST」をはじめた時期は、コロナ禍の初期で、ライブをやってもモッシュがダメとか、暴れるのはダメとかそういう情報が入ってきた時だったんですよね。

―ええ。

その頃に配信ライブの提案があって、ストリーミングで無観客でライブするって何だろう?って考えて生まれたのが「TEST」であり、それを進化させた現在の「ANMT」です。まずは配信ライブをどうやるかってことを一番考えましたね。配信で、歌うこと/プレイすることをどうやって進化させられるかを考えました。で、その時に『JAPANEASE MENU』がいい意味でヒントになったんです。このアルバムのアートワークは、アートディレクターの笠谷圭見さんにディレクションしてもらって、やまなみ工房というアウトサイダーアートを描いてる方々の作品を使ったんです。で、その段階でライブのヴィジョンがあったんですよ。コロナ禍になる前からすでに、僕らの中では『JAPANESE MENU』のファイナルはアートを全面に出した“魅せる・見せる”ライブを考えてたんです。演劇のような世界観で、笠谷さんに協力してもらって、演劇ホールのようなところでやるっていうヴィジョンがあって。それは有観客ではできない感じのもので、逆にお客さんがそこにいちゃまずいかな? どうしよう? くらいの気持ちでいたんです。

―「TEST」から始まり現在「ANMT」で繰り広げられているシアトリカルなステージはコロナ禍前から構想としてあったんですね。

そうです。ステージ上に楽器のメンバーさえ存在しないっていう。そんな構想がぼんやりとありました。楽器は楽屋でオンラインで弾いてもらって、やまなみ工房のアートワークがメインにあって、僕もやまなみ工房の作品の中のオブジェの一部になるみたいな感じ。そういうライブ……ライブというか出し物をやりたいなぁなんて話をしていたんです。その時はお客さん入れていいのかな?って感じでした。観客席の方にまでアートワークがあるようなイメージだったので。だから、その考えも「ANMT」に少し生きたのかもしれない。そんな考えがある中で最初の配信をやったら割と配信が良くて。だから、ライブDVDのお客さんいないバージョンみたいな配信ではなくて、“出し物”“見せ物”としての配信をやって、それを同時にレコーディングするアイデアはもともとあったんです。『JAPANESE MENU』のツアーっていうよりも、そっちの方を考えてましたね。

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