筋肉少女帯が語る、自分たちが描いてきた世界になってしまった戸惑いと使命感

―なるほど、曲名も何か映画のモチーフなのかなとか思っていたんですがそうではないんですね。ただ、そんな中で「COVID-19」というタイトルの曲があることには、正直驚きました。

大槻:歌詞を書く人間として、パンデミック時代に触れないのも嘘だし、あんまり触れすぎるのも過敏で、非常に匙加減がむずかしいんですけど、やはり関わらざるを得ないと思うんです。自分なりにコロナ禍についてどう歌詞で関わろうか考えたときに、「COVID-19」(コヴィッドナインティーン)という響きが、ロック的で歌詞にハマるなと思ったんです。それは僕なりの発見でした。僕は昼間にFMラジオを聴くことが多いんですが、FMのパーソナリティーの方はバイリンガルの方も多くて、コロナウィルスって言わずに「コヴィットナインティーン」って言うんですよ。それが、タイトルに使えると思ったんです。

―内田さんは、曲を書いた時点でこういう歌詞が付くとは思ってなかったわけですか。

内田:そうですね。でもタイトルに持ってくるのが潔いなって思いました。この時期だから触れなきゃいけない話題に正面からきたなと思いましたけど、内容はオーケンの世界だし、曲にすごく合ってると思います。

―深夜に偶然観た映画というイメージも合わさってるのかなと思って聴いたものですから、イントロは『エクソシスト』のテーマ曲「チューブラー・ベルズ」を思い浮かべてしまいました。

内田:なるほど、でもホラー系ではなくてわりと開けた明るい感じで、ピーター・ガブリエルを意識しよう思って作ったんです。

大槻:ああ! 僕もこれはピーター・ガブリエルの「Biko」みたいなことかなって思いました。でもオーケンにピーガブを歌わせるはずはないなと思いながら(笑)

内田:はははは(笑)。曲としては重く爽やかな方向を目指しました。決して『サスペリア』でもなく(笑)

―あえて映画に例えると?

内田:う~ん、『明日に向かって撃て!』。

大槻:ええっ! そうなの!? あれじゃないの? 『アラビアのロレンス』。

内田:なるほどね『ドクトル・ジバゴ』とかね(笑)

Rolling Stone Japan 編集部

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