筋肉少女帯が語る、自分たちが描いてきた世界になってしまった戸惑いと使命感

―それこそ、筋肉少女帯にまだまだ伸びしろがあることを感じさせる作品ですが、完成してどんな思いを持っていますか。

橘高:我々は、80年代後半からずっとステージに立ってきて、音源を作ってたくさんの人に聴いてもらって、アルバムを作って全国をまわって演奏して、またそれを持ち帰って次のアルバムを作るということを33年以上やってきた4人なんです。コール&レスポンスで盛り上がる曲が多いのも、やはりステージで育ってきた人間だから出てきた核なんです。それが、このパンデミックではじめてローテーションが崩れたんですよ。でも、そんな状況下で作ったということは、純粋に作りたくて作ったアルバムということになるわけです。そこでライブもまた楽しめる世の中が戻ってきたら、これはもう、伸びしろが広がったというか(笑)。この先、突発的にライブができないようなことを迎えたとしても、アルバムを作りたい意識があれば作れることが証明されたし、1つのエポックメイキングとして、バンドにとっての境界線も飛び越えたアルバムだと思います。あと、昨年はこの状況の中で幸いなことに2本のライブができたんですが、その貴重なライブをシューティングした映像が、初回盤の特典DVDで付いています。コロナと共にアルバム発売までに至るさまもそこで見て取れるので、是非そんなところも見てもらえたらなと思います(EX THEATER ROPPONGI で開催された「2020筋少1stライブ」(2020年10月18日)、「2020筋少Finalライブ」(2020年11月19日)から合計14曲程度収録予定)。

内田:激しいロックバンドをずっとやってきて、それと共に体は衰えていく。この先どうやっていこうっていう中で、このアルバムで老後のビジョンが1つ見えたんじゃないでしょうか(笑)。みんなそういうことを探っているんでしょうけど、この「COVID-19」の世の中をバネにして、長州力のようにがんばっていきましょう。

本城:去年コロナ禍の世の中になって、どうなっちゃうのかなと思いながら1年以上過ごして、いざアルバムを作ってみたらとても良い作品ができました。ちょっとふさぎ込みがちになりそうな世の中だけど、しっかり前を向いていればこの先も良いことありそうだなっていう、そんな気持ちになるようなアルバムになったと思います。

大槻:僕が筋肉少女帯で書く歌詞のような世界に1年半前からなってしまったんですけど、アルバムを作らざるを得ないなっていう妙な使命感みたいなものを持ったのは確かです。それによって世界を変えてやろうとか、こういう主義主張を広めてやろうという思いはなくて、たまたま自分の歌うバンドの世界観のような世界になってしまった者の戸惑いというか。そこからその先を明るく見据えて行こうという意思表示で、『君だけが憶えている映画』という作品を制作することができたのは、1つだけ役割を果たしたような気持ちにもなっています。ただ、まだアルバムが発売されたばかりなので、これからもっとバンドとして色んなことを、この奇妙な世界の時代の中でやっていかないといけないなって思っています。



<リリース情報>

筋肉少女帯
21st アルバム『君だけが憶えている映画』

発売日:2021年11月3日(水)
=収録曲=
1. 楽しいことしかない
2. 無意識下で逢いましょう
3. 坊やの七人
4. 世界ちゃん
5. COVID-19
6. 大江戸鉄炮100人隊隠密戦記
7. そこいじられたら~はぁ!?
8. ロシアのサーカス団イカサママジシャン
9. ボーダーライン
10. OUTSIDERS
11. お手柄サンシャイン

<ライブ情報>


「君だけが憶えている映画ツアー2021」

2021年11月6日(土)大阪 梅田 CLUB QUATTRO
時間:OPEN 16:30 START 17:30
問)清水音泉 06-6357-3666

2021年11月13日(土)神奈川 YOKOHAMA BAY HALL
時間:OPEN 16:30 START 17:30
(問)HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999

「ベストセトリ!筋少デビュー33周年記念ライブSP」

2021年11月28日(日)東京 LINE CUBE SHIBUYA
時間:OPEN 16:30 START 17:30
(問)HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999
[Support member / 三柴理(Pf) 長谷川浩二(Dr)]

チケット 全席指定 9800円(税込/Drink別)
チケット一般発売日 10月23日
(新型コロナウイルス感染予防対策を講じて、全会場キャパシティ50%での開催)

筋肉少女帯 HP

Rolling Stone Japan 編集部

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