反ワクチンに人種差別、エリック・クラプトンの思想とどう向き合うべきか?

Illustration by Joan Wong for Rolling Stone. Images in Illustration by Michael Ochs Archives/Getty Images; Steven Puetzer/Getty Images

ロック・ギターの概念を塗り替えながら「本気で」人種差別的な暴言を吐き、ワクチンへの疑念を声高に叫ぶようになったエリック・クラプトン。彼は変わってしまったのか? それとも、昔からこうだったのか?


まさかの資金援助

キャンベル・マクローリンは自分が騙されていると思っていた。自他ともに認めるロックダウン反対派、COVID-19ワクチン懐疑派(本人の言葉を借りれば「医療選択賛成派」)である27歳のイギリス人は、公共の場で無償演奏するUKミュージシャン集団「Jam for Freedom」の創設者。ロックダウン反対を叫び、時には“毒の入ったワクチンをケツに刺せばいい”といった歌詞の曲を歌う。それゆえ、Jam for Freedomはしばしば警察といざこざを起こし、一度などは演奏中、本人が言うところの「コロナウイルス規制違反」で逮捕されたこともあるそうだ。


今年6月、ロンドンのハイドパークで行われたJam for Freedomの集会(Photo by Martin Pope/Camera Press/Redux)

この春、グループが楽器の搬入に使っていた車が、事故でほぼ使えない状態になった。そこでマクローリンは交通費、ガソリン代、法的手続きの費用を賄うためにGoFundMe(クラウドファンディングサイト)のページを立ち上げた。するとある日、驚いたことにエリック・クラプトンから1000ポンド(約15万円)が寄付されていた。

「きっと偽者だろうと思いました」とマクローリンは当時を振り返る。だが、寄付に併記されていたアカウントにメールを送ったところ、76歳のギターヒーロー本人からメールが届いた。「『やあ、エリックだ。君たちの行ないは素晴らしい』というような、称賛の言葉でした」とマクローリン。2人は後日電話で話をしたが、マクローリンも気づかないうちに、クラプトンは家族が所有していたバン、白のフォルクスワーゲン・トランスポーターをJam for Freedomに代車として提供した。さらに新車購入費用として大金を寄付し(マクローリンは金額を明かさなかった)、「どこかのタイミングでグループに参加したい」とまで言ったという。そして現在、クラプトンの支援のおかげで、Jam for Freedomは全英中で自由にメッセージを拡散している。

Translated by Akiko Kato

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