松本隆、シーン復帰後から2000年代までの歩みを辿る



1995年10月発売。氷室京介さんのシングル「魂を抱いてくれ」。1989年から1994年が実質的な意味での休憩期間だったと彼は言っています。でも、業界に対してお休み宣言はしてなくて、なんとなく身を引いたという感じだったんですね。「身を引きながら、シーンについてどう思っていたんですか?」って話を訊いたんです。彼はゴム紐に例えていましたね。つまり、ゴム紐ってギリギリまで伸ばして、パッと離すと一瞬にして元に戻る。松本さんはやっぱりギリギリまで引っ張ったゴム紐でもあったんでしょうね。で、「いなくなったらパッとまたすぐに戻った。次の作家がいたからね」って話をしてましたけど、「そういうことかって思って、そんなに意外には思わなかったけどね。でも、もう自分の居場所はないかもしれないな」とは思ったとも言ってました。

そういう時間を経て復活するきっかけになったのが氷室さんの初めてのバラードシングルなんですね。氷室さんのバラードでは最大のヒット。氷室さんがレコード会社を移籍して、新しいレーベルの第1弾のシングルとして、松本さんに詞を頼んだ。氷室さんは「松本隆さんは俺のことをこういうふうに見ていてくれたんだなと思ってうれしかった」と言っていました。松本さんはこの曲がヒットして、「まだやれると思った」そんなシングルです。1995年10月発売、氷室京介さん「魂を抱いてくれ」でした。

Rolling Stone Japan 編集部

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