松本隆、シーン復帰後から2000年代までの歩みを辿る



2017年に発売になった、クミコ with 風街レビューのアルバム『デラシネ』。その中の最後の曲「輪廻」。作曲が菊地成孔さんですね。他の作曲家は秦基博さんとか、永積タカシさんとか、横山剣さんとかはっぴいえんどで育った人たちが曲を書いているというアルバムの最後にこれが入っていて。松本さんは「菊地さんといつか仕事がしたかったんだ。最後に思い切って曲だけ作ってもらった」というふうに言っておりましたね。〈滅びのあと誕生する 草や花の美しさ〉とか、〈涙拭いて微笑んでる そんな人の愛と強さ〉とか、さっきお聴きいただいた「幸魂奇魂(さきみたまくしみたま)」の次に生まれたアルバムというふうに考えると、やっぱりここにも通底しているものがある。通底というよりも、輪廻と言った方がいいかもしれませんね。

この後、2018年にシューベルトの歌曲三部作の3作目「白鳥の歌」も全曲訳詞をしているんですね。「白鳥の歌」というのは白鳥は死ぬ時に最も美しい声で鳴くということで生まれているアルバムで、そういうスワンソングというのはその人の最後の歌と受け取られる言葉でもあるわけで。この「白鳥の歌」について、クミコさんの『デラシネ』以降、オリジナルアルバムの書き下ろしはありませんから、「この「白鳥の歌」は松本さんにとっての最後の歌という意味があるんですかね?」って言ったら、「全然そんなことないよ」というふうに言っておりました(笑)。

Rolling Stone Japan 編集部

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