松本隆、シーン復帰後から2000年代までの歩みを辿る



「J-POP LEGEND FORUM 松本隆特集 第3弾」。10月27日に発売になります。私の本『風街とデラシネ~作詞家・松本隆の50年』これと連動した同名のCDを全曲お聴きいただきました。流れているのはこの番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説」です。

Disc2の後半をお聴きいただきました。冒頭で2018年1月にこの番組で松本さんの特集を組んで、その時の話がきっかけでこの連載、そして今回の本が生まれたという話をしましたけども、その時はまさかこういう流れ、こういう50年を書くことになるとは夢にも思ってなかったんですね。つまり、私は始まりがそういう意味では松本さんのはっぴいえんどと同じようなところから始まったわけで、同じ時代を生きてきたというかすかな自信みたいなものがあったのですが、回を重ねるごとにそれが打ち砕かれていって、「え! これどうしよ」と思うことの連続だったんですね。入り口はこの番組のインタビューだったのですが、その後、途中からは毎回、平栗さんというマネージャーの方にお願いをして、京都に行ったり、神戸に行ったり、東京に来た時の松本さんに時間をもらったりして、話を訊きながらようやくたどり着いたという感じなんです。

で、その最たるものが今日お聴きいただいた古事記ですよ。「幸魂奇魂(さきみたまくしみたま)」。まさか自分がこういう音楽について書くことになるとは夢にも思ってなかった。これは松本さんに引っ張られてここまで来たという感じがありましたね。オリジナルアルバム『デラシネ』の最後が「輪廻」という曲で、なぜ「輪廻」があのアルバムに入ったかというのは、この「幸魂奇魂(さきみたまくしみたま)」と繋げて聴いた方が分かるのではないか。これはディレクターもそういうふうに言っておりました。いろいろなものが通底していて、いろいろなものが輪廻していて、松本さん自身が長編の叙事詩ではないかとあらためて思っております。50年どんなふうに聴いていただけたでしょう。そして、どんなふうにこの本が読まれるだろうと思っています。

松本さんの活動、11月5日、6日に武道館コンサートがあります。「風街オデッセイ」。そして、私ごとのついで、最後に10月30日にNHK文化センターというところで出版記念講座をやらせてもらいます。これは対面で、東京の青山のNHK文化センターでやるのですが、配信もあるので、もしもうちょっと話を聞いてみたいという方はそこにお越しいただけるとうれしいなと思っております。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

「J-POP LEGEND FORUM」
月 21:00-22:00
音楽評論家・田家秀樹が日本の音楽の礎となったアーティストに毎月1組ずつスポットを当て、本人や当時の関係者から深く掘り下げた話を引き出す1時間。
https://cocolo.jp/service/homepage/index/1210

OFFICIAL WEBSITE : https://cocolo.jp/
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Rolling Stone Japan 編集部

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