古田新太が語る、我が道を進む変わらぬ「生き方」

Rolling Stone Japan vol.16掲載/Coffee & Cigarettes 31|古田新太(Photo = Mitsuru Nishimura)

音楽、文芸、映画。長年にわたって芸術の分野で表現し続ける者たち。本業も趣味も自分流のスタイルで楽しむ、そんな彼らの「大人のこだわり」にフォーカスしたRolling Stone Japanの連載。古田新太と松坂桃李が実写映画初共演となる話題作『空白』。昨年から今年にかけて映画『一度死んでみた』『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』の出演はあったが、古田が今回主演を務めるのは7年ぶりとなる。我が道を進む古田の変わらぬ「生き方」とは?

Coffee & Cigarettes 31 | 古田新太

「7年ぶりの主役について? いや、何とも思ってないですね」

そう言うと、コワモテの目尻をクシャクシャにしながら「あははは!」と笑った。古田新太。劇団☆新感線の看板役者であり、『木更津キャッツアイ』シリーズや『土竜の唄 香港狂騒曲』など話題作にも数多く出演してきた映画俳優。ここ数年は、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」や「逃げるは恥だが役に立つ」など、TVドラマでも唯一無二の存在感を放つ彼が、『台風一家』以来7年ぶりの主演に抜擢された。その意気込みについて尋ねたところ、返ってきたのが冒頭の答えだ。

「主役だろうが、脇役だろうが関係ないというか。そういう部分での気負いも、『主役をやりたい』という気持ちもほとんどないんです。仕事があればいい……若干ギャラが高いのはうれしいですけどね。とにかく、いつでもどこでも監督が求めている役を演じ切るだけ。思いついたことはやってみますが、『ダメ』と言われたらすぐ引っ込めます」

『ヒメアノ~ル』や『愛しのアイリーン』などで知られる吉田恵輔が監督・脚本を手掛けた映画『空白』は、古田が演じる主人公・添田充の娘、花音(伊東蒼)の壮絶な「死」から始まる。中学生の花音はスーパーで店長の青柳直人(松坂桃李)に万引きを疑われ、追いかけられた末に車に轢かれてしまうのだ。それまで娘に無関心だった添田は、彼女の無実を証明しようと店長を激しく追及していくうち、次第に常軌を逸していく。


©️表記:© 2021 『空白』製作委員会 

「脚本を読んだときは『なんでオイラなんだろう?」と思いました。実生活ではフレンドリーなお父さんですから(笑)。添田さんは、きっとああ見えて真面目な人なんですよ。仕事もできる人だし信頼もされているのでしょう。だからこそ『俺は間違っていない』という考え方をしてしまう。奥さん(田畑智子)にも逃げられちゃうし、花音にも心を閉ざされてしまう。でもそういう人って多いんじゃないですか」

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