オリヴィア・ロドリゴ×アラニス・モリセット対談 若くしてスターになった二人の共感

デビューアルバムの成功にどう対処した?

オリヴィア:おかしな話だけど、私はまだちゃんとしたライブをやったことがなくて。隔離期間中にレコードを出したから。

アラニス:そうだったわね。どうだった?

オリヴィア:正直、大満足です。1stシングルを出して、それが上手くいって、こんなに早い段階で成功するなんて思ってもいなかった。今までやっていたみたいにベッドルームで曲を書いていなかったら、実際より頭でいろいろ考え過ぎていたかもしれない。

アラニス:ということは、曲がリリースされて、世間の反応を全く予測していなかった。そこへきて大勢の人から大歓迎されたわけね。最初はどうやってそれに対処したの? もちろん今もその渦中にいるわけだけど。

オリヴィア:私たちはデビューアルバムがものすごく大ヒットしたという、似たような経験をしていますよね。それって不思議な気分じゃないですか。少なくとも私にとってはあっという間でしたね。一夜にして変わったみたいな感じ。私は5歳の頃から仕事して、ずっと曲を書いてきたから、決して一夕一朝ではありません。でも、「ベッドルームで曲を書いてました」っていう状態から「どうしよう、大勢の人がこの曲を知ってる」という状態になるまでは本当にあっという間だった。もちろんものすごくラッキーだと思います。でも時々、自分とは関係ないような感じがしてしまって。

アラニス:自分事じゃなくなるのよね。

オリヴィア:そう。クリエイティビティには魔法のような素晴らしい力があるとずっと思ってるし、素敵な曲を届けるのが自分なら最高ですよね。でも、自分とは何の関係もないこともある。曲にあまりエゴを持ち込まないようにしているんです。

アラニス:それは非常に賢明ね。



オリヴィア:あなたはアルバムが出た時、どう対処したんですか? 批判や注目に対応するのに苦労した?

アラニス:もう見世物小屋状態よ。いじめられたこともたくさんあったし、嫉妬されたこともあった。憧れの存在だった人たちが、実は意地悪な女の子だったとかね。

オリヴィア:私も同じ!

アラニス:22歳になったころに批評を読むのは止めた。私個人の成長や進化とは全然関係がないから。頼まなくても、私が見落としている部分を指摘してくれる人は周りにたくさんいたしね。それにセラピー好きだから、いつも大勢のセラピスト軍団がいる。でも結局は、「誰にわかってもらえているか」ってところに落ち着いた。

オリヴィア:私も同じような経験をしました。ソーシャルメディアの時代に音楽を出すのは、時にすごく厄介なことで。若い女性に対して、信じられないくらい非現実的な基準を押し付けてくるでしょ。私もあなたと同じように、今はもう見ないようにしてる。

みんなそういうのを見なくてもいいと思うんですよね。私たち人間は本来、大勢の人が着るものや口にすること、話し方についてどう考えているか、知らなくていいと思う。そういう線引きをもつことがすごく大事。そんなのリアルな人生じゃない、って気づくことがね。そうでしょう? そういうのはオンライン上に作られた世界で、人類という大きな存在の一面でしかないわけで。

アラニス:Instagramとかについて意見を聞かれるんだけど、あれはクリスマスシーズンのNYのショウウインドウと同じだと思う。見せるためだけのもの。

オリヴィア:まったくその通り。私の場合、12歳でInstagramを始めたから大変なんです。青春時代のすべてを人々の前にさらしてきたから。人間としての自分と、Instagram上の自分とを区別するのは難しいですね。

長い間、その2つを分けるのに苦労してきました。私は優しくて、賢くて、すごいことをたくさんしてきたのかもしれない。でも、それをInstagramで紹介しないで、誰の眼にも触れられなかったら、実際にはなかったことになっちゃうんですかね?

アラニス:私たちの世代にはいろんなことが変わったわ。私も最近ソーシャルメディアについて考えてるの、今の時代ソーシャルメディアで自分自身はどの程度まで判断されるんだろうって。

Translated by Akiko Kato

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