flumpoolが語る、バンド人生の「ネクスト」とは?

「その次に」に投影したバンドの想い

―誠司さんはどうですか? 売れる売れないって話で言うと。

小倉:ぶっちゃけ言うと、自分が食える分だけ稼げればいいっていうのもあるし、例えば東京ドームでワンマンがしたいとか、そういうのは売れないとできないことですし、そういう意味では半々です。あとflumpoolの音楽の在り方について言えば。変わらない部分もやっぱりあって。お客さんと一緒に夢を追いかけて行ける、夢を見られる音楽にはしたいなって。もし東京ドームでやるんだったら、ファンの方々も一緒にそれを夢見てほしいですし、僕らの音楽を聴いて「バンドってこんなに楽しいんだ」っていう風にまた夢を持ってほしいし。そこはこれからも変わらないのかなって個人的には思っています。

山村:今の誠司の話の流れで言うと、新曲「その次に」の歌詞で、コロナ禍の暗い社会を航海に喩えてますけど、自分一人やったら独立の話にしても、コロナにしても、暗い海の中では恐ろしい静けさだと思うんです。でも友達と一緒に夜の海に行ったら、静けさもまた違った印象になる。「わ! 星めっちゃ見えるやん!」とか、そういうイメージとすごく似てるんですよね。生きる解像度を上げてくれるというか。仲間といると、一人じゃ見えないものをバンドが見せてくれるんですよね。それはお客さんが僕らのライブの中で見る景色と一緒で、世の中暗く見えるかもしれないけど、僕らのライブに来た時だけ、なんかいいところが一つ、二つ見えたら、明るく感じられると思うんです。人の心の支えに、自分たちの曲がなってくれたらいいなと。

―新曲「その次に」ですが、曲のタイトルと歌詞に何度か出てくる“隣”っていうキーワードがダブルミーニングになっていますよね。英語で言うと両方「next」ですから。

尼川:nextは実は新曲のタイトル候補やったな。

山村:そうやったなぁ。



―“次に行く”って今までいた人を切り離すみたいなイメージがあったんですけど、次に行くことは隣に誰かがいてくれることを大事にすることなんだなと教えてくれた感じです。

尼川:完璧ですね。山村が言ってたその通りですね。

―マジですか!

山村:本当にそのままです。横の繋がりと先の夢……どっちも必要だよなって。

―先に進む縦軸と隣を大切にする横軸が一つになるのはなかなかイメージしにくい。前に進むと横のつながりが壊れる感じがするし、横軸を強調するとなんかステイみたいな感じになるけど、そのどちらでもないタイトルと歌詞にハッとさせられました。

山村:何か一つのことを自分が作るとなって、会社を立ち上げて、自分の理想をいざ描く時って、正直面倒くさいところもあるんです。横のつながりを持ちながら自分たちの夢を叶えるってすごく難しいことだと思うし。でも、そこに一生の曲、誠司のドラム、元気のベースがある。それに惚れてる自分がいるから、横のつながりを持ちながら信頼して夢を叶えていけると思うんです。音楽があるから、それぞれの才能をつないでくれる絆が生まれる。他のバンドにとっては音楽ある無しに関わらず当たり前のことかもしれないですけど、僕らの場合は音楽の才能が各々光ってるから、一緒にいられるのかなと思います。

―一生さん、大きく頷いていますね。

阪井:え?

尼川:聞いてなかったな(笑)。

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