岡村靖幸の名盤『家庭教師』、当時のプロモーターが背景を語る



田家:アルバム4曲目、タイトルの「家庭教師」です。この曲についてはいろいろ思い出がおありだろうなと。

福田:この曲はショックの度合いが1番高かったかな(笑)。アルバム通し聴きの時があって、これは「(E)na」の後、わりといい流れ、ポップな流れにこれが来る。詞の中身もそれこそ、成長した主人公が今度は家庭教師の役というか。

田家:23歳の家庭教師。

福田:になって、そこで生徒さんとのストーリーになるんですけど。

田家:親が村会議員で大金持ちの娘、パパから毎月30万送金してもらっている娘(笑)。

福田:リアリティあふれるというか、非常になんていうんですかね…… ある意味動く艶めかしさみたいなものを感じたりして、ショック度強すぎるというか。アルバムの表題曲だし、これがこのアルバム全体の空気を作っているのかなと思うとゾッとするというか(笑)。

田家:しかも、そのアルバムのセルフライナーノーツを書かなければいけない(笑)。

福田:そうです、そうです(笑)。

田家:この曲でどんなことをお書きになったか、覚えてらっしゃいます?

福田:これはどんなこと書いたかなあ…… やっぱりショックなところを言ってたような気がするんですけどね。確実な記憶はないっす。

田家:いろいろ探してたら、岡村さんはファンレターを全部お読みになる人で、ファンとのやり取りの中で自分のことを家庭教師のように思う、みたいな発言はありましたね。

福田:そうですか。へー!

田家:そこからこういう話、歌の内容に想像力が膨らんでいったのかもしれませんね。

福田:岡村靖幸流の家庭教師がすごすぎるというか、ちょっと超越度がすごい(笑)。

田家:所謂セックスと言うんですか。EPICソニーってわりと青春感の強いレコード会社でしたから、こういうエロティックなものってあまりなかったんじゃないですか。

福田:そうですね。バービーボーイズがわりと大人の男と女のヒストリーみたいなので、エロティックな歌詞のシングルがあったりしてたんですけど。よりイメージが膨らむ形でエロティックなものはたぶんなかったんじゃないかと思いますね。

田家:これはどういうイメージお作りになったみたいな話はされたことはあるんですか?

福田:ないです。

田家:話をしても、答えてくれそうもないですね。

福田:基本的に作ったものに関して、僕は訊いたことないですね(笑)。「これはどうして作ったの?」とか、「これってどういうところでこういう歌詞がおりてきたの?」みたいな。まさに彼が音楽の話をしないというところで、僕もあえてそういうものを訊かない方がいいのかなと思って、触れることがなかったですね。

田家:最初の頃のインタビューはプリンスと松田聖子とビートルズみたいな話をされていた時期もあるんでしょ?

福田:ありますね。ちょうどセルフプロデュースをしたあたりから、そうなったんじゃないかって気はしますけどね。『靖幸』ぐらいからじゃないかって想像はします。

田家:なるほどね。それは来週以降のお楽しみということで、このアルバムのタイトル曲はこういう曲です。アルバム『家庭教師』の4曲目「家庭教師」でした。

Rolling Stone Japan 編集部

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