デーモン・アルバーンが語るアイスランドへの愛と感謝、ブラーとゴリラズの未来

デーモン・アルバーン(Photo by Linda Brownlee)


深淵の底で生きる感覚

ニューアルバムのタイトルは、19世紀のイギリスのロマン派詩人ジョン・クレアの詩「Love and Memory」(邦題:愛と思い出)に由来する。「10代の頃、母親から詩集をもらった」とデーモンは言う。「ずっと昔にこの部分[The Nearer the Fountain, More Pure the Stream Flows/泉に近ければ近いほど、流れる小川は澄んでいる]を記憶して、いまではすっかり元の詩から切り離してしまった。アイスランドでのレコーディングを決意して、ただ窓の外を眺めながら目に映るものを演奏として表現しよう、風景の輪郭を音楽として描いてみようと思ったときにこのフレーズを組み合わせたんだ。かつての僕が感じていたことよりも、はるかに多くの意味が込められていることに気づかされたよ」


Photo by Matt Cronin

『The Nearer the Fountain, 〜』の収録曲の歌詞の多くは、ロックダウンまたはアイスランドの田舎での日常生活がもたらす深い孤立感を反映している。2曲目の「The Cormorant」は、アイスランドの海で泳いだデーモンの体験にインスパイアされている。そこで彼は、ウ科の水鳥やアザラシを日常的に目の当たりにした。デーモンは、“彼女は僕が哀れな侵入者だと思っている/深淵の底へ”と歌っている。

深淵の底で生きる感覚は、3曲目の「Royal Morning Blue」(“君はローブを羽織って消えてしまう”)、5曲目の「The Daft Wader」(“僕らが点火したロケットは、いまは雪に埋もれている”)、6曲目の「Darkness to Light」(“つぶれた衛星が踊る/静かなコンガを”)、8曲目の「The Tower of Montevideo」(“かつては映画があった/僕らはパーティーをした”)、10曲目の「Polaris」(“アラームとその音楽が恋しい”)といった楽曲にも引き継がれている。




アルバムは、最後に収録されている「Particles」とともにやや楽観的なムードで終わる。ここでデーモンは幼い頃の夢に立ち返る。“夜が部屋に模様をつけるとき”と彼は歌う。“黒い砂が戻ってくる/僕は大地のはるか彼方へと漂う/空が燃え始めると/僕を呼び戻すことができるのは君だけだ/君の肌に落ちる粒子は喜びに満ちているから”

「Particles」は、アイスランド行きの飛行機でラビ(訳注:ユダヤ教の宗教的指導者)と乗り合わせたのをきっかけに誕生した楽曲だ。「僕らは粒子について、粒子が互いを見つけ出す必然性について語り合った」とデーモンは言う。「すべての粒子は喜びに満ちている。別の何かとつながるから。そこからリアクションが生まれ、まさにそれが世界の喜びなんだ。ラビはウィニペグ(訳注:カナダのマニトバ州の州都)の出身で、いまはバンクーバーに住んでいる。すごく残念なことに、彼女の名前を忘れてしまったんだ。探し当ててアルバムを送りたかったのに」

Translated by Shoko Natori

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