岡村靖幸『yellow』、当時のプロモーターと未だ得体の知れない才能について語る

岡村靖幸





田家:西岡さんが選ばれた今日の4曲目、『yellow』の中では6曲目に入っておりましたが「Water Bed」。これを選ばれているのは?

西岡:久しぶりにこの曲聴いたんだけど、妖しい曲だよね(笑)。出だしから妖しくて、あらためて聴くと得も言えぬ、ドロドロとした感じがいいなって思いましたね。

田家:それまでのEPICにはなかったいろいろな要素の中に、妖しげにセクシーみたいな感じって言うんですかね。この曲もなかなか評価しにくかっただろうと思いますね。

西岡:そうですね。ちょっとビートルズの後期みたいな感じの音作りもあるかもしれないです。だからごちゃまぜにはなっていたと思うんだけど、そういう意味では新しいものと古いものを上手く取り入れているのかなという感じはありましたね。

田家:語りかけるパートがあったり、音像が歪んでいたり、重低音とシンセサイザーが絡んでいたり、いろいろな要素がある1曲になっています。

西岡:この曲はアルバムに入って、アルバム自体がいいなと思うになる曲ですよね。

田家:この曲が岡村靖幸だっていうのが、だんだん評価されるようになっていったんじゃないですかね。「Young oh! oh!」みたいなポップでキャッチーな面はありながら、岡村さんのエモーションはこれなんじゃないかみたいな。

西岡:そうですね。得体の知れなさというのはちょっと変だけども、そういう意味ではまだ掴みきれていないというか。ファンもスタッフも完璧には掴みきれてないぞって感じなのかもしれないね。

田家:実は、得体の知れないというのは今月の1つのキーワードなんです。未だにやっぱり、得体の知れないところがある。あの人の才能の奥深さとか、全体像がちゃんと見えているのは事務所の社長、近藤さんだけではないのかっていう感じがしてます(笑)。

西岡:近藤さんも分からないかもしれないですけどね。でも僕らにとっては35年間分からない感じですね(笑)。

田家:これは作詞作曲が岡村さんですけども、プリンスのアルバムのクレジットを見て、これがかっこいいと思ったから自分でやるようになったという記述もありましたよ。

西岡:やっぱり自分でやりたくなってピアノを弾き出すとか、インストゥルメンタルの曲も全部自分で。ゆくゆくはアレンジもそうなんですけど、そういうことを全部自分のものにしてしまうというか、それも短期間で。

田家:このアルバムは西平彰さんがアレンジャーとして一緒にやってますもんね。

西岡:そういう意味では知識を得るというか、現場でどんどん知識を吸収していった、吸収力の速さ。僕らもすげーなと思いながら見ていましたね。

田家:「Water Bed」を聴いていて、「家庭教師」はこの延長線上にあるんじゃないかなと思ったんですよ。

福田:今あらためてこの曲を聴いていて、先程田家さんがおっしゃられていた彼の作品の原石だとすると、例えばその後の「聖書~バイブル」みたいな曲とか、その後の「家庭教師」とかに移って発展していくみたいな。その得体の知れなさみたいなところ。作品にどんどん入っていって、進化していく感じはこの曲を今聴いて、ハッとさせられた感じですね。

田家:今聴くと、ハッとしますよね。〈ぼくは リアリティなんかいらないよ〉って自分にとってのリアリティみたいなものと、世間にあふれている誰もが簡単に口にするリアリティみたいなものは全然違うものだということだとか、彼の求道者的な何かっていうのもここにあったりするんじゃないのかなと。

福田:彼の表現者としての1つのポリシーというか、自分はこうありたいみたいな。原石だとすると、それが1つのテーマで、今も続いているというか。

田家:とっても真摯な人なのではないかと思ったりして、この曲を聴きました。

Rolling Stone Japan 編集部

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