TETSUYAが語る、ソロ20周年での若返りと楽曲制作における哲学

-TETSUYAさんがソングライティングされている音楽は、完全にTETSUYAさんにしか作れないモノになっているじゃないですか。今や類似品すら誰も作れない次元になっていて、本当の意味で唯一無二の道を進んでいますよね。

不思議ですね(笑)。中学の頃に先輩に勧められてベースを始めて、その流れでバンドを組んで音楽の道へ進みましたけど、一度も「プロになろう」なんて思ったことはなかったんですよ。そもそもプロになれるなんて思っていなかった。そんな僕がこうやって30年も音楽を続けられていることも不思議だし……人生って分かんないもんですね。小学校の卒業タイミングで校長先生とお話しする時間があって、3、4人ずつ校長室に行って2、30分ぐらい「将来、何になりたいか?」みたいな話をするんですけど、僕の前に居た女の子が「私はシンガーソングライターになりたいです」って答えていて。そのとき、校長先生は「シンガーソングライターって何?」って聞いてて(笑)。で、僕は将来、音楽の仕事に就くと思っていなかったんで、そのやり取りを他人事のように聞いていたんですよね。そんな僕がこうして曲を書いて、自ら歌って……もう不思議としか言いようがないなって。

-自分でも全く想像していなかった人生を歩んできたわけですね。

バンドを始めた頃はヘヴィメタルを聴いていたんですけど、ヘヴィメタルバンドはギタリストが曲を書くもんじゃないですか。でも、その当時組んでいたバンドはギターが曲を全然書かなくて、書いてきたとしても「なんだこりゃ?」みたいな曲しか持って来ないんで、仕方なく僕が曲を書くことになったんですね。で、僕のまわりはみんな「上京してプロになる」と言っていたんですけど、僕だけ唯一プロ志向じゃなくて「俺は無理やわ」みたいな。それなのに気付いたらプロになっていて……。

-ここまでの話を聞いていて思ったんですけど、TETSUYAさんって天才タイプですよね。

TETSUYA:うーん……天才かどうかは分からないですけど、よく「天才」とは言われます(笑)。でも、そういう才能があるとは自分では気付けていなかったし、まわりの人のおかげでここまで来れている感覚のほうが僕自身は強いですけどね。

-たしかに、ここまでのストーリーはすべて偶発的な出逢いやきっかけから展開されていますよね。

そうなんですよね。ソロ活動に関しても、hydeがソロ活動をすることになって、それまで僕はソロなんて考えてもいなかったんですよね。やりたいことはすべてラルクでできていたし、他にやりたいこともなかったので。でも、そこでバンドの動きがいったん止まるのであれば時間もあるし、それで「俺もやろっかなぁ」ぐらいの感じでソロを始めたんです。そしたら僕のほうが曲を作るのが早かったんで、結果的に僕が先にソロデビューすることになっちゃったっていう(笑)。

-それも偶発的な巡り合わせですもんね。

僕、なんでもそうなんですよ。誰かの勧めで始めたりとか「それなら俺もやろうかな」とか、そういうまわりの状況に流されてここまで来ていて(笑)。ただ、性格的に「やるからにはちゃんとしたい、中途半端なモノはやりたくない」と思うタイプで、それに加えて負けず嫌いでもあるので、何に対してもここまで本気でやってこれたんだと思います。歌うなら歌うで、ちゃんとヴォーカリストになりたいと思っていたし。ただ、最初のきっかけはすべて自分の意思じゃないんですね。だから本当にまわりの人たちに感謝です。

Rolling Stone Japan 編集部

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