ONE OK ROCKのTakaが語る、生きること、夢を追うこと、手を差し伸べ合うことの大切さ

「自分のことをちっぽけに感じる瞬間はありました」

ーONE OK ROCKって常々「今を生きろ」というメッセージを楽曲や活動で表現してきたと思うんですが、それがこのコロナ禍という状況もあり、より強く伝わる映像作品になっていると思いました。でも、やっぱりすごいなぁと思うのは、こういう状況だとどんなに強い人でもネガティヴな想いに囚われてしまうじゃないですか? そんな中でも、ポジティヴな言葉を責任を持って発信してるのが、やっぱりただものじゃないなって。

ポジティヴィティって僕の中ではそう簡単になくなるものじゃないんですよ(笑)。もちろん、精神的・体力的に疲れたりすると、多少、ネガティヴにもなりますけど。キツい状況ではむしろ、自分の性格だとなるべく「助けられる人を助けたい」って思うので。

コロナ禍で歌が歌えない、パフォーマンスができない、活動ができないっていう歯がゆさは感じつつも、自分の感じているつらさよりも、もっともっと大変な思いをしている人たちがいるっていうことも理解できていたので。そういう人たちを自分たちのこの少なくなってしまっているエネルギーでどうやったら助けることができるのかなってことは、すごく考えましたね。

ーあー、でも、やっぱりTakaさんでもエネルギーは削られたんですね。

そうですね。大切な友達も失ったし、自分たちにできることも限られているこういう状況で、自分のことをちっぽけに感じる瞬間はありましたよ。でも逆に言うと、僕くらいポジティヴな人間でさえ、こんなふうに思ってるんだから、もっと普段から色々なものを抱えて日々生きている人たちは、今どうやって生きているんだろうってことはすごく心配になりました。想像しただけで、恐ろしかった。オンライン・ライブをやる前、つらい状況が続く中で「僕一人で出来ることはそんなにないけど、ONE OK ROCKとしてなら、やれることはもしかしたらあるのかもしれない」って思ったのは、すごく覚えてますね。

ー今回の映像作品に収録されているライブ自体(『ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE』)は昨年、10月11日にZOZOマリンスタジアムで行われて。それからおよそ1年弱が経過したわけですが、コロナが始まってから今に至るまで大きく考えが変わった部分ってあります?

そもそもコロナ禍が始まったぐらいの時に、僕らはオーストラリアにいたんですよ。ツアーがちょうど終わったところだったので、僕の場合はアメリカの家に帰るか、日本に戻るかを選ばなくちゃいけなくて。いろいろ考えたんですけど、やっぱり自分は日本人だし、家族も日本にいるし、待っているファンの大半は日本にいるわけで。これから最悪の展開として、自分の今までのキャリアがすべて失われるぐらい状況が悪化してどこにも行けなくなるんだとしたら、僕は自分の国にいたいなって思ったんですよ。

結果的に、日本にいたおかげで、オンライン・ライブに関しても色々計画することができましたし、自分の目で日本を日本人としてみることができたので、それはよかったのかなって。悲しいことは沢山ありましたけど、でも「この先に必ず明るい未来がある」っていうことを、自分の中でもう一度信じ直さなきゃなって強く思えたし、自分を応援してくれる人たちとか協力してくれている人たち、大切な仲間に対しては今まで以上に愛を持って接していきたいなっていう気持ちになりましたね。

ー今年の7月には河口湖ステラシアターでバンド初となるフル・アコースティック・ライブ『ONE OK ROCK 2021 “Day to Night Acoustic Sessions” at STELLAR THEATER』が行われましたけど、最近のONE OK ROCKの活動を拝見していると、「大切な仲間に愛を持って接する」というアティチュードをすごく感じるんですね。顔の見えない誰かではなくて「仲間」に表現の切っ先が向けられているな、と。

それは独立したことも、大きく影響していると思いますね。ただね、やっぱりコロナ禍を経て、僕も物事を考えるのに、無駄なことを考えなくなったんですよ。すごくシンプルになって。ONE OK ROCKにとって、今一番何が大切なのかっていうと、やっぱりファンなんですよ。その一番大切なものを大事にできなかったら「お前らがバンドやってる意味なんてないじゃん」って、いろんな人にそう言われると思う。こういうことがあって、ファンのことを大切にするっていうこと以外は本当にどうでもよくなったんですよね。ファンさえ大事にしていれば、それ以外のことはどうとでもなるなって。

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