ONE OK ROCKのTakaが語る、生きること、夢を追うこと、手を差し伸べ合うことの大切さ

ドキュメンタリーを撮った理由

ーでも、ライブの映像作品もそうですけど、今回のドキュメンタリーは勝手に心配になりましたよ。「ここまで見せてもいいの?!」って(笑)。スタジオでのリハーサルの様子やライブの演出に関する会議にもカメラが入っていて、制作の過程が詳らかにされている上に、コロナ禍のメンバーの皆さんのプライベートにも密着されているじゃないですか。すごいレアな映像を観てるなって息を呑みました……(笑)。

ははは(笑)。監督の雨包 (直人) さんは、昔からずっと一緒にいて僕らを撮ってくれている人なんで、そんなに気負うことなく、普通に自然体でいることができたんで(笑)。でも、たしかにあんまりそういうプライベートなところとか裏側を僕ら、見せたことないですもんね。



ーそもそも、でもなぜこのタイミングでドキュメンタリーを撮ろうと思われたんですか?

ドキュメンタリーを撮った理由っていうのはすごくシンプルで。僕らの活動は、ライブと音源を作るっていうこと以外は基本的にはないんですよね。その中間にあるものを届けられる接着剤的なコンテンツって、やっぱりドキュメンタリーしかなくて。僕らのパーソナリティとか思想的な部分ってファンの人たちにはわかってもらえていると思うんですけど、さっきも言ったように、実際に今僕らがやろうとしていることがどんなふうに作られているのかっていう「裏側」みたいなものはあまり見せたことがなかったから。そういう意味で、コロナの混乱が始まってから、初めてのオンライン・ライブをやるまでの期間は、いつリリースするのかは置いておいても、絶対に映像で記録しておきたかったんですね。

ーつまり、それはファンと同じ空間を共に出来る生のライブという活動のベースがなくなってしまった、コロナ禍だからこそ、今、ONE OK ROCKはどんなふうに活動しているのかというところを見せておこうと思った、と。

そうですね。このコロナ禍って個別具体的な差はあるにせよ、世界中の人が同時期に同じような体験をして、同じような感情を抱いたと思うんですよね。そういう状況って生きていても、なかなか巡り合うものじゃなくて。だから、このドキュメンタリーでは、僕らはコロナ禍で、こんなふうに前を向いて、走り出そうとしていたっていう記録を残したかったんです。自分たちでも、今のこの気持ちを忘れたくないし、この状況を経験したすべての人達にも忘れてほしくないなという思いがありました。

ーコロナ禍という特殊な状況下で、アーティストとしてメッセージや表現を届ける際に何か注意していたこととか、考えていたことってありますか? 個人的に考えていたことでもいいんですが。

うーん、そうですね。自分たちの力ではどうしようもない状況に陥ると、普通に考えて、人間って絶望したり、ネガティヴな気持ちに苛まれたりするじゃないですか。僕らはエンターテインメントを生業にしているので、こういうときこそ絶対に前を向かなきゃいけないな、っていうのはずっと思ってました。でもファンの人達に届けたい言葉っていうのは実際の所、コロナ禍になっても、これまでとあまり変わってはいないんです。ただ、以前よりも少しだけ今、自分たちが言葉を伝えたいと思う人達のことを考えて、発信するということを心がけていました。

ONE OK ROCKとしての活動はストップしてしまいましたし、色々なものを失ったので、悲しい気持ちでいっぱいになった瞬間もあったんですが、自分たちが今ここで生きているということについて、あらためてよく考えることが大切だな、とは思ってました。与えられた命の重みやなぜ生きて夢を追うのか、みたいな人間として一番シンプルなことをじっくりと考える時間がもてたのは、よかったのかなと思います。

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