歌割りから生まれる効果
―楽曲の話に戻りますが、レコーディングでは各メンバー全曲フルで歌ったと思います。新メンバーの皆さんは、完成版を聴いて自分たちの歌が重要なパートに割り振られていて驚きませんでしたか?
河西:私は3曲のなかで「ガラクタDIAMOND」を最初にレコーディングしていて、アドバイスをたくさん聞きながら頑張ったので、出だしのパートをいただいたときはびっくりしたけどすっごくうれしかったです。でも、重要なパートだからこそライブで歌うときにもっともっと成長していかないといけないと思います。
福田:私は3曲とも個人的に好きなパートをいただけました。でも、「これが使われるんじゃないかな」と思っていたのと違うテイクが採用されているのを聴いて自分の解釈とは違う雰囲気を感じたので、これからは違う歌い方にも挑戦しながらレコーディングをしていけたらと思いました。
―今回、歌割りが細かいパートがあったりして、コンサートで歌うときの難易度が高そうだと思いました。短いパートを歌いつないでいくって実はすごく難しいんじゃないですか?
岸本:「約束・連絡・記念日」のAメロは10人のソロでつないでいて、そこは歌のリレーでもあり、気持ちのリレーでもあって、その気持ちをメンバー全員一度も崩しちゃいけないし、私の出番はすごく人を惹きつける真琳の声のあとにくるので、真琳の声を聴きながら若干緊張してスタンバってます。
秋山:あとは一番最後のパートもだよね。
岸本:そう、そこで新メンバーが単語をひとつずつ歌ったあとに先輩メンバーが7人一文字ずつ歌っていくんですよ。
秋山:あそこはもう、音程をとるのが難しくて。
岸本:たしかに。
秋山:一文字のソロパートってなかなかないし、私が担当している歌詞は<どれも>なんですけど、そこに音程をパーン!と合わせてつなげていくのがすごく難しいと思いました。
―それは全体での念入りな練習が必要になってきますね。
岸本:だから、武道館前のリハーサルでは、メトロノームを使ってディレクターさんと一緒にそこだけリズムの練習をめちゃくちゃしました。
―新メンバーにとってはなおさらハードルが高かったんじゃないですか?
河西:私も「音程とれないじゃん!」って思ったし、短いフレーズでどうやってファンの皆さんにアピールするか、どうやって曲のイメージを伝えるかがすごく難しかったので、武道館のコンサートではそこが一番緊張しました。
岸本&秋山:へぇ~。
福田:「ガラクタDIAMOND」の最初のAメロも新メンバーで歌いつぐんですけど、私は歌が苦手ですし、他の新メンバー3人に比べて、表現力もないほうだと思っているので……。
―何をおっしゃいますやら!
福田:いや、違います! 本当に本当に……そう思ってるので、表現力で負けないように短いパートでも惹きつけられるように練習したんですけど、そこが一番緊張しました。あと、「約束・連絡・記念日」と「涙のヒロイン降板劇」では2番サビの入り口のパートを歌わせていただいたんですけど、1番サビの入り口と同じフレーズだし、1番との違いを見せないと曲自体が面白くならないのですごく悩んだし、難しかったです。
岸本:ここはめっちゃステキなパートで、「涙のヒロイン降板劇」のサビに入るパートは1番を八木栞ちゃん、2番を真琳ちゃんが歌っているんですけど、ファンの方にピックアップされがちなのは栞ちゃんのほうなんです。それはたぶん、栞ちゃんの歌は表に出るエネルギーがあるし、ファンの方がすぐに食いつくような力があるからだと思うんですけど、2番の真琳は想いを内に秘めるような歌い方をするので、陰と陽、太陽と月みたいに、対象的な表現で私はステキだと思ってます。