岡村靖幸が禁断のエロスに取り組んだ『DATE』、当時のプロモーターが振り返る



田家:アルバムは11曲入りで10曲目が先程の「イケナイコトカイ」で、11曲目が「19才の秘かな欲望」。1986年の渡辺美里のアルバム『Lovin’ you』に書いた曲のセルフカバー。

西岡:美里ちゃんに書いた曲も本当にいい曲がいっぱいあって、デビューシングルからそうですけど、この曲も岡村くんならではの曲で、美里ちゃんにぴったりな曲でもあって。セルフカバーしてくれて僕らもうれしかったです。

田家:これも西岡さんにお持ちいただいたカセットテープの中で「デビュー前に書いた曲を入れたんだ」と言っている。

西岡:その頃からそういう曲を作っていたこと自体、本当に驚きですし才能が溢れていたんだなって感じがします。

田家:アルバムを作っている時にステージのことは想定しながら作っていたんでしょうかね。

西岡:どうですかね。この頃になると、そういう意識は強かったと思うし、ちょっとファンキーな感じとか踊りっていうことをキメキメだったり、ステージに何を持ち込んでこういうところでこういうふうにしたらという絵も浮かんでいて作っていたような気もしますね。

田家:そういう中でこの話はしておきたいってものは?

西岡:いろいろあるんですけども……(笑)。

田家:これはなんですか?

西岡:これは反省の色なしって言って、店頭発売する前に広告で打ったんです。岡村くんと言うと、イメージがなかなか掴みきれない中、ワルのイメージと言うと変ですけど、当時のEPICの中ではこっちの方向にいるアーティストとして見せたいという意味で洒落で作ったんですけども。岡村くんも反省の色なしって言われて、困っているというような話もしました。それだけのことをいくつもやらかしてきているわけなんですよね(笑)。当時としてはちょっと小さなことも大きくして伝えて、ちょっとこいつは僕らには手に負えないやつなんだよってことを音楽も含めて伝えたかったことで、反省の色なし岡村靖幸という(笑)。

田家:今日あらためて、ふと思ったんですが、この放送を本人が聴いたらどう思われるだろうと(笑)。

西岡:まあ、聴いてほしくないかもしれないですけど、僕は(笑)。彼の音楽はさっきから何度も言ってますけど、素晴らしいなと思うし、時間を経ても聴ける音楽なので。未だに35年経っても岡村が愛されている理由は曲もそうだし、分かる気がしますね。


岡村靖幸『DATE』ジャケット写真

田家:福田さんが『yellow』の時にちょっと後悔があるって言っていましたよね。『DATE』に関してはそういうのはありますか?

福田:シングルの時から全く関わっていなかったので、あらためて聴くとその後というか、彼のキーワード「青春」に足を踏み込んで、ティーンの時の青春を題材にして、20歳、21歳の岡村くん目線も入れながら青春を描いていくというか。ファンに共有していくというか。それが始まったアルバムなんだなと聴いているみなさんもとっくに分かっていると思うんですけど、青春はここからなのかというのはすごく感じています。

田家:そういうアルバムの最後に、自分がデビュー前に書いた曲のセルフカバーを入れたということですね。

福田:ボーナストラックが「19才の秘かな欲望」。やっぱりティーンなんですね。目線は19才。その時の岡村くんよりちょっと下の目線がちゃんと入った、彼流の青春ソングというか。究極の青春ソングはここから花開いていく、原石が一気に磨かれていく、そういう印象を僕はあらためて持ちました。

田家:「19才の秘かな欲望」はアナログ盤には入ってないんですね。

西岡:アナログには入ってなくて、CDにボーナストラックとして入っていたと思います。

田家:まだアナログ盤が残っていて、CDも両方出していた、カセットもあった。

西岡:3つありましたね。

田家:これは調べればすぐ分かることなんですけど、当時、ライブアルバムってあったんでしたっけ?

西岡:彼の単独のライブアルバムじゃないんだけど、「広島平和コンサート」が1987年にあって、1曲岡村くんが尾崎豊と「Young oh! oh!」を歌っていましたよね。のちに「Dog Days」がCD化されていて。あの時のライブ音源が入っていたと思います。それ以外はたぶんないよな。

福田:ないですね。

西岡:なんでないんですかね。

福田:少なくともEPIC時代はライブ映像にもフルでは残ってなくて、半分とか7割ぐらいの曲しか入ってなかったりもするので。ライブということに関して、もしかしたら何か彼の中であったんじゃないですか。訊いたことないですね。

田家:「19才の秘かな欲望」はライブなので、ライブ盤というのも聴いてみたいなと思ったり。

西岡:映像はたしかに残っているけども。

田家:これからまだ再評価の課題が残っているのかもしれませんが、来週は3枚目のアルバムということになりますね。お2人またよろしくお願いします。

西岡:こちらこそよろしくお願いします。

福田:はい、よろしくお願いします。

Rolling Stone Japan 編集部

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