『ザ・ビートルズ:Get Back』は期待以上に最高だった 絶対に見ておくべき理由とは?

『ザ・ビートルズ:Get Back』より (C)2021 Apple Corps Ltd. All Rights Reserved.

『ザ・ビートルズ:Get Back』がいよいよ配信スタート。ピーター・ジャクソン監督の計8時間に及ぶドキュメンタリー3部作は、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴによる最後の作品についての定説を覆し、これまでのバンドに対する捉え方をがらりと変える。ここ日本でも話題沸騰中の本作、その魅力に迫る。


『ザ・ビートルズ:Get Back』
PART1:11/25(木)/ PART2:11/26(金)/ PART3:11/27(土) 各日17:00より配信スタート
※ディズニープラス加入者の方は配信スタート以降、いつでも好きな時間に視聴可能


ついにDisney+で配信がスタートした3部構成の新作ドキュメンタリー『ザ・ビートルズ:Get Back』。数ある名場面のひとつが、ポール・マッカートニー作の「She Came In Through the Bathroom Window」のジャム・セッションだ。みなこの曲を心底気に入った。ジョージ・ハリスンがギターをかき鳴らす。リンゴ・スターがドラムを乱れ打つ。ジョン・レノンが鍵盤を叩き、ポールと丁々発止を繰り広げる。ポール「警察署を辞めてきた」 ジョン「仕事を見つけろ、兵隊さんよ!」 ポール「まともな仕事を見つけたよ」 ジョン「俺に言わせりゃ、潮時だぜ!」 メンバー全員の息がぴたりと合い、互いに刺激し合っている。他の誰も入り込めない4方向のテレバシーでつながっているかのようだ。世界の頂点に立った4人の少年たちがここに全員集結した(“All Together Now”)。

その翌日、ジョージがバンドを脱退。そうさ、誰にでも辛い過去はある(“Everybody had a hard year”)。

『Get Back』はファンに捧げる感謝祭の贈り物だ――ビートルズとともに過ごす8時間弱。期待していた以上に愉快で、騒々しく、悲しくて、リアルだ。だがアルバムやコンサートの制作秘話というわけではない。驚くほど固い絆で結ばれた友情――今も昔も変わらぬ、世界から愛された4人組の姿だ。ジョン、ポール、ジョージ、リンゴはひとつのチーム、ひとつの集合体を象徴する存在となった。世界を相手に立ち向かっていったやんちゃ坊主たち。彼らはまた別離の象徴でもあった。『Get Back』では固い絆が崩れてゆく様が描かれる。だが同時に、彼らが必死に食い止めようとする姿も描かれている。

ピーター・ジャクソン監督が『Get Back』に取りかかったのは2017年。現在に至るまで、もっとも熱望されたロック・ドキュメンタリーなのは間違いない。当初は2時間の長編映画を想定していたが、最終的に3部構成のドキュメンタリーシリーズとして、11月25日〜27日までDisneyのストリーミングチャンネルで放映される(※ディズニープラス加入者の方は配信スタート以降、いつでも好きな時間に視聴可能)。監督は保管されていたお宝映像の山を掘り起こし、もっともコアなビートルズのブートレック収集家さえも知らない驚きの映像を引き当てた(すでにジャクソン監督の口からは18時間相当のディレクターズ・カット版の話も出ている。ひとこと言わせてもらえるなら、ここで待ちぼうけを食わさずに今すぐ案内してくれ!)。

Translated by Akiko Kato

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