キング・クリムゾンのロバート・フリップ、愛妻トーヤと語る「夫婦漫才ビデオ」の真相

トーヤ・ウィルコックスとロバート・フリップ(Photo by Toyah Willcox and Carlo Marshall / © 2021 Toyah Willcox)


「嫌なやつ」というイメージを払拭

─ロバートが踊っている姿や、アリス・クーパーやジョーン・ジェットの曲をカバーすることに対して、キング・クリムゾンのファンからはどういった反応がありましたか?

フリップ:一言でいえば、「意外だった」ってことだろうね。この企画における私の個人的な目的の一つは、世間の自分に対するイメージを払拭することだった。「すごく嫌なやつで、友達にも冷たくて、誰に対しても失礼で、人の心を持たない怒れる金の亡者」っていうのが私のイメージで、とにかくロクでもないものばかりなんだ。普段の活動でそれを払拭するのは、はっきり言って不可能だと思っていた。でも妻は、私のまるで違う一面を世間に知ってもらう方法について随分前からアイディアを練っていて、それが『Sunday Lunch』に繋がったんだ。ロックダウンがなければ、私はきっと同意しなかっただろうね。

─動画を公開するようになって、ライフスタイルに変化はありましたか?

トーヤ:翌週の日曜に公開するカバー曲を、その10日前の金曜に決めるの。月火水に練習して、水曜の夜に本番を想定したリハーサルをやる。時々だけど、ロバートに黙ったままリハーサルの様子を撮影してるのよね。ファーストテイクがベストテイクだっていうケースは多いから。

「Poison」は20テイクも撮ったんだけどね。あれはすごくテクニカルな曲だから、抑えるべきポイントも多くて。視聴者がどんどん増えていくうちに、私たちもより念入りに準備するようになったの。初期の動画の大半はリハーサルなしで、テイクはせいぜい2回だったわね。

フリップ:起床直後に撮ることが多かったね。

トーヤ:そう、あれはもう無理ね。

─この企画はいつまで続く予定ですか?

トーヤ:今は1ヶ月に1本だけど、2週間おきに発表するようにしたいと思ってるの。インパクトを持続させる方法について、私たちのメディア担当チームと今話し合ってるところ。ウイルスが完全に根絶されるまでにはまだ時間がかかるだろうし、みんなが多くの時間を家で過ごす状況はしばらく続くと思う。私たちがこの企画を始めたのは、辛い思いをしているのはみんな一緒だってことを伝えたかったからなの。あなたは独りじゃない、そういうメッセージを発したかった。だから、この企画が完全に終了することはないと思う。


11月21日公開の最新動画は、ロバート・フリップが「きよしこの夜」を歌うクリスマス仕様

─お2人の結婚生活は1986年から続いています。ロックダウンの間にこれらの動画を作る過程で、お互いについて学んだことはありましたか?

トーヤ:キング・クリムゾンでのロバートは、フォーカスがブレないように定めた見えない境界線の内側で曲を書いてきた。それを長く続けるうちに、彼は何かを繋ぎとめる釘のような存在になった。そうなると、ただ自分が楽しむためにステージで強烈なソロを弾くわけにはいかなくなるのよ。今の彼にとって、そういうのってボーダーラインの外側だから。

NGであるはずのこういう企画にロバートが乗ってくれて、自分で定めたルールを破ろうとしてくれたことを、私はすごく嬉しく思ってる。一連の動画の魅力のひとつは、ロバートが本気を出してるってこと。それって奇跡みたいなものなの。彼がオープンな姿勢で、ロックの曲を本気でカバーしてるなんて、普通ならあり得ないことなのよ。

フリップ:妻について既に知ってたことを、改めて再認識させられたね。彼女はエネルギーの塊で、周囲の人間を導く。妻はスターなんだよ。気に食わないことがひとつだけあるんだ。今は世界中で女性の役割についての議論が行われていて、特に音楽業界ではそれが顕著だ。妻は70年代後半から80年代を通して、カルチャーに影響を与え続けた。それにも関わらず、彼女の功績が歴史から抹消されてしまっていることに、私は我慢がならない。だからこうして、彼女のヴィジョンをオーディエンスに向けて直接発信しているんだ。

トーヤ:私がお金を渡して言わせてるみたいだけど、そうじゃないからね!

【関連記事】「キング・クリムゾン最後の来日公演になるだろう」トニー・レヴィンが語るバンドの現在地

From Rolling Stone US.




キング・クリムゾン
MUSIC IS OUR FRIEND JAPAN 2021

東京2021年11月27日(土)東京国際フォーラム ホールA
東京2021年11月28日(日) 東京国際フォーラム ホールA
各OPEN 17:00 / START 18:00 SS指定席¥20,000 | S指定席 ¥16,000(税込/全席指定)

名古屋2021年11月30日(火) 名古屋市公会堂 大ホール
OPEN 17:30 / START 18:30 SS指定席¥20,000 | S指定席 ¥16,000(税込/全席指定)

大阪2021年12月2日(木)フェスティバルホール
大阪2021年12月3日(金)フェスティバルホール
各OPEN 17:30 / START 18:30 SS指定席¥20,000 | S指定席 ¥16,000(税込/全席指定) 

東京2021年12月5日(日)立川ステージガーデン
OPEN 17:00 / START 18:00 SS指定席¥20,000 | S指定席 ¥16,000(税込/全席指定) 

追加公演:東京2021年12月7日(火)Bunkamuraオーチャードホール
追加公演:東京2021年12月8日(水)Bunkamuraオーチャードホール
各日共にOPEN 17:30 / START 18:30 SS指定席¥20,000 | S指定席 ¥16,000(税込/全席指定)

各公演共にチケット発売中!
※未就学児(6歳未満)入場不可

出演メンバー
ロバート・フリップ(Gt)
ジャッコ・ジャクジク(Gt,Vo)
メル・コリンズ(Sax,Fl)
トニー・レヴィン(Ba,Stick,Backing Vo)
パット・マステロット(Perc)
ギャビン・ハリソン(Perc)
ジェレミー・ステーシー(Perc,Key)

詳細:https://www.creativeman.co.jp/artist/2021/01kingcrimson/

Translated by Masaaki Yoshida

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