岡村靖幸『靖幸』、当時のプロモーターと岡村ワールドについて語る



田家:西岡さんが選ばれた4曲目、アルバムの5曲目「聖書 -バイブル-」。聖書と書いて、バイブル。

西岡:これは本当にじっくり聴いていただきたいけど、身体を動かしてもいいし。聴き応えもありますし、ちょっと詞は岡村ちゃん絶好調という詞になっていますので。

田家:〈Teenagerのあなたが なんで35の中年と恋してる〉っていう(笑)。

西岡:そうなんですよ。僕らも当時そのくらいの年齢だったので、何言ってんだって感じもあったんですけどね。それと中に出てくる〈Crazy×12-3=me〉。あの方程式は未だに解けてないよね。

福田:解けてないですね(笑)。

西岡:なんだろこれって思いながらもずっと30年くらい経っちゃったから。

田家:35の中年は妻帯者なわけで、Teenagerのあなたがあんな男と恋していいんですかという、そういう憤りが感じられたりもする(笑)。

西岡:世の中的に言うと、バブルなのでこういうところにいろいろな形で目が向けられるのはたぶんあったと思うので、そこは自然と岡村くんの中にもそういう情報が入った中でということがあると思いますけども。

田家:アルバムをずっと通していくと、岡村さんのある種の正義感みたいなものが必ず見えますね。

西岡:そうですね。やっぱりこうじゃなきゃいけないという感じ。でも、自分はそこにまだ到達していないから、でもそういうことに騙されちゃいけないんだよとか、ちゃんとしなきゃいけないんだよってことは道徳的な部分を訴えていますよね。

田家:だから強がったりとか、背伸びしたりとか、自分を悪ぶってみたりとか、いろいろな面があって。でも根底にあるのは正義感でしょうね。そんなことしていいの? みたいな。

西岡:ちゃんとしなきゃだめだよ、女の子とはってことですよね。ここの前も話しましたけども一歩、二歩も三歩も先に行っている岡村くんなのでこの先どこへ行くのかなという感じもありましたけど、プロモーションしがいのある曲だなと思っていました。

田家:福田さんの中でこの曲で思い出すことはありますか?

福田:ちょうど僕が来週いらっしゃる近藤さんの導きでDVD BOXを作ったことがあって、その打ち合わせの時にあったツアーだったと思うんですけど、「聖書 -バイブル-」のコンプリートバージョンと所謂コンパクトバージョンと2曲をライブでやったんですよ。シングルに立ったパフォーマンスとフルバージョンに立ったパフォーマンスと両方やっていて、これ一体何なんだろうな、でもどっちもかっこいいんですけど。こういうことって、結構ライブを観てるんですけど初めて。

田家:たしかに一回のライブで両方やる人はあまりいませんね。

福田:打ち合わせの時の食事の席で開口一番に本人に訊いた覚えがあるんですよ。その時は本人は答えは出してくれなかったんですけど、よく気づいたねみたいな(笑)。

西岡:当時、これ12インチシングルにして洋楽と一緒にディスコ回ってかけてくださいって言ってプロモーションした覚えがあるんですよね。

福田:欲しいですね、12インチ(笑)。

田家:それもやっぱり再発しないといけませんね(笑)。まだ掘り起こさなければいけないものがたくさんある。

Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE