「不平等な社会」がもたらす格差からメンタルヘルスの悪化を考える

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音楽学校教師で産業カウンセラーの手島将彦が、世界の音楽業界を中心にメンタルヘルスや世の中への捉え方を一考する連載「世界の方が狂っている 〜アーティストを通して考える社会とメンタルヘルス〜」。第42回は、「格差のある社会」におけるメンタルヘルスについて産業カウンセラーの視点から伝える。

GREEN DAYに『Stuck With Me』という曲があります。「階級構造には反吐が出る」「俺の価値をいくらで買うつもりだ? 俺の尊厳からそれを奪って死ぬまで浪費するのか」と、格差・階級社会への反抗・反発を歌った彼ららしいパンク・ナンバーです。

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今、世界中で「格差」の問題が深刻になっています。それは音楽産業も例外ではなく、上位層に属する10パーセントのアーティストがほぼ全ストリームを独占しています。芸能・芸術の世界で所得分配が一部の人たちに集中し、その分野を支配する昨今の状況は「スーパースター現象」とも言われます。

この「格差のある社会」言い換えると「不平等な社会」は、人々のメンタルにも悪影響を及ぼすことがわかっています。ノッティンガム大学メディカルスクール名誉教授、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン名誉教授である経済学者・公衆衛生学者のリチャード・ウィルキンソンとヨーク大学教授で疫学者のケイト・ピケットはその著書『格差は心を壊すー比較という呪縛』の中で、数々の研究結果と事例を挙げてその問題を指摘しています。

Rolling Stone Japan 編集部

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