電子音楽とデジタルアートのフェスティバル「MUTEK.JP 2021」、全貌を徹底解説

「MUTEK.JP」メインビジュアル

電子音楽とデジタルアートのフェスティバル「MUTEK.JP」が12月8日〜12日の5日間、日本科学未来館ドームシアターとLINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)、そして渋谷ストリームホールにて開催される。

MUTEKは2000年にモントリオールで始まり、現在では他にバルセロナ、ブエノス・アイレス、ドバイ、メキシコシティ、サンフランシスコ、東京の世界7都市で開催されていて、モントリオールでは約3万人を集めるイベントに成長している。フェスティバルでは、デジタル・クリエーション、電子音楽、オーディオ・ビジュアルアート等の先端的・創造的・実験的な表現が発表され、そこから次世代の表現に大きな影響を与えるようなアーティストやツールも生まれてきた。

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「先端的・創造的・実験的」と聞くと、敷居が高いように感じたり、一部のコアな人向けのものと思ってしまったりする人もいるかもしれないが、例えば私たちの多くがスマートフォンやパソコンの成り立ちや原理をほとんど知らなくても、それを使いこなし、そこから何か新しい感覚やアイデアを得ることができるように、ここでもまずはただそのまま表現を感じることだけでも「新しい何か」を得られるだろう。実際、グルーヴィで身体的に響くダンス・ミュージック的な表現も多々発表されていて、知識を持っている人はもちろんだが、感覚的に参加しても安心して充分に楽しめるフェスである。MUTEKは「Music & Technology」の略と思われることが多いようだが、実際には「Mutating Technology」の略で、「このフェスティバルの全体的なアイデアと精神は、人間がテクノロジーとともにどのように突然変異していくのか、人間とテクノロジーの間のフィードバック・ループのようなもの」だという。そのように、発表される様々なプログラムを身をもって体験することで、多様な感情が生まれ、何か新しい可能性を手にすることができるフェスなのだ。



またMUTEKは、トップ・ダウンの人工的なフェスではなく、地元のコミュニティーとのつながりのあるプラットフォームとしてのフェスがアートの後押しには必要だという考えから、半分が海外アーティスト、半分は地元アーティストになるようにガイドラインが決められている。そして、たとえばCorneliusや常田大希のソロプロジェクトDTMP(Daiki Tsuneta Milleninium Parade)、真鍋大度(Rhizomatiks Research)のような著名な人も出演している一方で、無名ではあってもクリエイティブで強いアイデンティティを持ったアーティストも積極的に後押しし、国内のみならず世界に発信し続けている。そうした「ここでしか出会えない新しい刺激や発見」があるということも大きな特徴であり魅力のひとつと言えるだろう。

それでは、各開催日の内容を見てみよう。

Rolling Stone Japan 編集部

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