ASKAが語る「PRIDE」への想い、チャゲアスの代表曲をセルフカバーした理由

“俺のプライドはこれだ”という意思表明

-先ほど「タダじゃ済ませられない」と仰っていましたが、その気持ちというのは、10周年という節目だからということだったんでしょうか? それとも……。

あの時はいろんな想いがありましたよね。当時の所属会社からロンドン行きを反対されていたのもありました。CHAGE and ASKAが今ここまで盛り上がってきている時に休むのかって。休むというより海外生活をするということが目的でした。30年前ですからね。まだ日本のアーティストも外タレコンプレックスがあった。別に向こうに行ったところで外タレなわけがない。ロンドンで生活をしているというだけで見方が変わる。イメージ戦略ですね。最低半年、長くて2年。目的を聞かれても答えようがない。単にアーティストイメージを変えるためだけでしたから。メディアは「ASKA、ロンドン音楽留学」「ASKA、活動の拠点をロンドンに移す」など、勝手に書いてくれました。予想以上の戦略になりましたね。

-それでも強行する必要があったと。

それこそ、“思い上がりと笑われても譲れないものがあるプライド”ですよ。

-なるほど。そういった当時の心境も少なからず反映されていたんですね。歌詞を書いていて“プライド”という言葉に行き着いた時、歌ってみた時ってASKAさんの中でどうでした? プライドってけっこう重たい言葉だと思うんですよ。ポップに歌えるものではないとは思うんです。

誤解されがちな言葉ですよね。向こうのシーンだと“プライド”ってけっこう多用されているんですけど、それを日本語の曲に乗せたときにどう思われるかなというのはさすがに気にしながら書いていました。そういう不安がある中で、なぜこの言葉を使えたかというと、歌詞は日常生活の描写から入っているからです。これなら誤解されずにすんなり受け入れてもらえるんじゃないかなと。こんなに長い間支持してもらえるとは思いませんでした。

-シングルカットされたわけでもなかったこの曲が、CHAGE and ASKAの代表的な曲としてここまで長く愛されてきたのは、結局のところ何だったと思いますか?

共感を得やすかったからだと思います。言いたいこと、やりたいことがあっても、自分の不甲斐なさで上手く伝えられないし、上手く出来ない。本当はここじゃないんだ、ここで止まってしまっているけど、今を責めないでくれと。本当に行きたいところはもっと別のところにあるんだという気持ちって、誰にでもあると思うんです。この歌はそれがテーマですから。そこにみんなが共鳴してくれたんだと思います。

-いつも思うんですけど、優れた音楽には、大体“お前はこれでいいんだ”という肯定と“お前はこれでいいのか?”という問いかけの両方があるんですよね。この曲はまさにそうで、日常生活というある意味共鳴や共感から入って、最終的に“お前にプライドはあるのか?”という問いかけで終わる。

そのうえで、“俺のプライドはこれだ”という意思表明でもあるんです。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE