AKIRA with THE ROCKSVILLEがロックンロールをアップデートする理由

―今回、ほとんどの曲の演奏も2人でやっているということもあって、20代のAKIRAさんの感性とKOZZYさんがやってきた王道な音楽の作り方がすごく上手く融合されていると思います。特に「Remember Me to Myself」にはそれを感じました。

AKIRA:この曲は、今までにない感じだと思います。私が新しい音楽を聴いていて、「この曲良いんだよね」って話すこともあって、それが上手く相まってできた曲かなと思います。



―初めてのオリジナル曲「Homecoming」(2018年発売の2ndアルバム『Luv-Enders’ Explosion!』に収録)もそうですけど、AKIRAさんの歌詞って日本語と英語が混ざっているところが特徴ですよね。その手法はKOZZYさんのルーツでもあるキャロルのジョニー大倉さんの系譜からきてると思っていたんですけど、今作の曲たちを聴くと、そういうルーツをなぞっているわけじゃなくて、「Remember Me to Myself」なんかはヒップホップ的な感覚で書いているんだなって感じました。

AKIRA:それはありますね。ヒップホップも聴くことが多いし、そういうアーティストの言葉遊びの上手さとかに倣って書いたというのは、大いにありました。日本語にも聴こえるし英語にも聴こえるようなところが面白いなって。でも「あ、歌っているのは日本人なんだ?」みたいな。そういう感じでワクワクしてほしい感じで書きました。それと、日本語だったらクサくて言えないけど英語だったら言えることもあるから。

―この曲は、異国に行って孤独な心境を歌っている?

AKIRA:今の私が過去の自分に手紙を書いた曲なんです。最初の部分は今の自分なんですけど、昔のことを思い出して手紙を書いて、昔の自分の視点に移るんです。

KOZZY:タイプライターで自分に手紙を書くのはどうかなと思って、ヤフオクでタイプライターを落札して、AKIRAと一緒に受け取りに行ったんです。それで出品者の方に会ったら、父親が若い頃に買ったものでずっと持っていたそうなんですよ。それを使って冒頭のタイプライターの音を入れました。それと、アルバムの他の曲は、声を張った感じが歌の魅力だと思うんですけど、この曲はトーンを落とした方が良いと思って、キーを3回ぐらい変えました。今作の中でも時間をかけた曲ですね。

AKIRA:これは、喋ってるのと歌の間みたいな感覚で作った曲ですね。

KOZZY:そこの感覚がもう、我々とは違うから。喋ることと歌うことが同義語という感覚は僕の中にはないんですよね。歌詞に関していえば、英語と日本語が混在している歌詞は自分の師匠みたいなジョニー大倉さんから受け継いでやっているものだけど、そういうものとはまたちょっと違うというか。ただ、韻の踏み方はヒップホップからきてるかもしれないけど、ロックンロールも韻を踏んでない曲なんかないわけで。そこの、自分とAKIRAの考え方の共通するところと違うところというのが、意外に面白いなと思うんです。例えば、曲に言葉をはめてみて歌ったときに、AKIRAがヒップホップ的に捉えて「ちょっとハマりがわるいな」とか考えるのは、僕が思っているロックと感覚は同じなんですよね。そこは相反するようで共通点なのかなって思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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