LiSA武道館ライブレポ、「10年前のわたし」に向けた最高のプレゼント

本編ラストに披露された「ハウル」の感動

ドレスを脱ぎ捨て、露出度の高い衣装で艶かしいパフォーマンスを見せた「わがままケット・シー」、曲にあわせてカラフルでポップな衣装で披露した「ノンノン」、観客がハンドクラップやフットスタンプで演奏に加わる「妄想コントローラー」と緩急に富んだ選曲でオーディエンスを魅了するLiSAだが、MCでは「私、今日緊張してます。(バンドメンバーに向けて)ソワソワしてない、私?」と本音を吐露する一面も。バンドメンバーとの和気藹々としたトークに続いて、LiSAは「不安定な世界で、不安になったり臆病になったり、特にこの2、3年はいろんなことに気持ちを期待したり、それがなくなったり、いろんな思いを重ねながら、それでもいつかこうやってまたみんなと集まって楽しめる日が来るんだと信じながらやってきました。そして、今日迎えたファイナルです」と武道館でツアーファイナルを迎えられた喜びを噛み締め、「いつも私をこのステージに、どんなことがあってもこのステージに立たせてくれたのは、目の前に、この瞳に映るみんながいてくれたからです」と感謝の言葉とともに「シルシ」をアカペラで歌い始める。途中からピアノやアコースティックギターなどが加わり、柔らかなアレンジで披露されたこの曲中では、感極まったLiSAが瞳を潤ませる瞬間が何度もあった。それは客席側も同様で、このかけがえのない瞬間を会場で共有できた幸せを噛み締め、涙をこぼす観客の姿も多数見受けられた。


Photo by Viola Kam (V’z Twinkle)

この余韻を抱えたまま最新ナンバーのひとつ「往け」へとなだれ込むと、さらに前進していこうとする強い意志が伝わってくる歌詞とポジティブなサウンドにハッとさせられる瞬間が何度もあった。その後もバンドメンバーのPABLO(Gt)のヴォーカルをフィーチャーしたビートの強い「play the world! feat.PABLO」、疾走感の強いサウンドに乗せてポールに掴まったLiSAがステージ外周を高速回転する「RUNAWAY」と、耳でも目でもオーディエンスを楽しませ続ける。そして、和装スタイルの衣装に着替えたLiSAは「炎」で会場の空気を一変。続く「明け星」で壮大な世界観を展開し、ダメ押しの「紅蓮華」でさらなるクライマックスに突入。アニメ『鬼滅の刃』テーマソング3連発というキラーチューン連発の豪華構成に、観る者すべてが圧倒されたはずだ。


Photo by Viola Kam (V’z Twinkle)



Photo by Viola Kam (V’z Twinkle)

このクライマックスはまだまだ終わらない。ライブ終盤の盛り上げには欠かせない「ROCK-mode’18」を経て、初めてこの日本武道館でのライブを経験したことで歌詞が生まれた代表曲「Rising Hope」へと流れると、会場の熱気は最高潮に到達。LiSAの口からは「サイコーや、武道館!」と、自然に喜びの言葉がこぼれる。そして、ファンへの感謝を込めてライブ本編ラストに披露されたのは「ハウル」。開放感の強いサウンドに乗せて歌われるサビの歌詞は、まさにこの日のために用意されたのではないかと錯覚するほど、今この瞬間と重なるものがあり、いつもよりも強く胸に響いたことは特筆しておきたい。最後にLiSAが放った「どんな日も、今日を越えていけ! 今日を、今日を、今日を越えていけ! ピース!」の言葉どおり、この曲を聴けばいつでも2021年12月8日のあの瞬間が思い浮かび、この先どんなことがあっても今日を越えていけるはず……そう信じてやまない。

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