―今回のアルバムは、サポートミュージシャンと一緒に作っているんですか。
サポートミュージシャンに参加してもらって、僕がディレクションしながら作っているので、やり方としてはバンドに近いです。ただ、今回のアルバムには、これまで配信リリースしてきた音源も入っているので、ちょっと前までサポートしてくれていたメンバーの演奏とか、曲によって参加メンバーは違うんですよ。
―今はサブスクで曲単位で聴かれることが多いですけど、フルアルバムとしてどんなことを考えて制作しましたか。
これまで配信してきた曲を何曲かと、新曲を合わせて作ろうというのはもともと考えていました。アルバムに向かって曲を作っていったというよりは、ある曲を集めたときに、結果的に自分がこういうことを言いたかったんだ、ということを要約してアルバムタイトルにもした感じです。
―「グラデーションブルー」「水色の船」等、アルバムタイトルにも繋がってくる曲名もありますね。
そんなに意識してたわけじゃないんですけど、「青が多いな」って(笑)。じゃあ、それはテーマにしようということで。1人になっていろんなミュージシャンとやるようになって、タイミングもあって人と離れたりとか、新しい人とやったりとか、自分の中でのある意味人生というか、今をひとくくりとしたときに、自分が幼いときから始めたものからそうじゃない自分になるまでの青の連続みたいな意味でつけたタイトルです。だから、もし次にアルバムを作るのなら、できるだけ青から遠ざけたいなっていう意味もあって。なんか、「もうこれで!」っていう(笑)。
―この作品で、青い自分に区切りをつけたい?
そうですね、そんなことを考えていました。
―「東京」「メトロポリタン東京で」という曲もあります。「東京」って、東京以外のところから来たアーティストがテーマとすることが多い気がするんですが、村瀬さんは東京のご出身ですよね。
お世話になっていたライブハウスの店長がいるんですけど、その方も東京の下町育ちで。その方が、「地方から来るバンドはハングリー精神があるけど東京のやつにはそれがないってよく言うけど、東京生まれ東京育ちのやつは帰るところがないんだ」っていう話をしていて。地方から来た人が仮に全国流通でアルバムを発売して、その後音楽を辞めて地元に帰ってきても、「全国流通でアルバムを出した」ということがある意味ヒーロー的な扱われ方になるけど、東京にずっと住んでいると、定期的に観ている人もいるし、全国流通するって言ってもただそれだけのことなんですよね。だから、「東京生まれ東京育ちは逃げ場がない」という話に僕も「たしかにそうだな」って共感したんです。じゃあ、僕は東京出身だけど、地方からきた側の人の立ち位置になったつもりで書いてみようと思ったのが「東京」です。この曲は、前のバンドの最後のアルバムにも入っているんですけど、音的には全然違うものになりました。