錦鯉が語る、ブレない生き様「漫才には一生かけて恩返しする」

ー錦鯉さんの活躍以降、5GAP、TOKYO COOL、野田ちゃんといった「おじさん芸人」たちが注目されているじゃないですか。当事者として思うところはありますか?

長谷川:よく「中年の星」とか言っていただくんですが、その反面、芸人を辞めるタイミングを逃させてしまった部分もあるというか。「あ、まだ俺らも行けるじゃん!」みたいな。そういう罪……じゃないけど(笑)、変に希望を与えてしまったという責任は感じてますよね。

渡辺:でもそれはね、やる奴しだいですから。この世界そんなに甘くないよって。

長谷川:収録の合間で関根勤さんとお話ししたんですけど、「この年齢でブレイクできるって夢があるよね」って言っていただけて感動しました。ずんの飯尾(和樹)さんとか、ルー大柴さんとかも遅咲きではありましたけど、売れる前からちょこちょこテレビには出てらっしゃいましたから。僕はもし芸人を辞めていたら、この1年間が存在しなかったんだなって考えると……人生って不思議ですよねえ。



ーお2人の生き様というか、ずっとブレずに芸人を続けてこられた理由ってどこにあると思われますか。

長谷川:やっぱり僕の場合は、「何も考えてこなかったから」に尽きますね。

渡辺:でもホント、それですよ。僕もブレるブレないとか以前に、何も考えてこなかったですから(笑)。

長谷川:ちゃんと将来のこととか、親のこととか、結婚とか、色々考えていたら続けられないですよ。良くも悪くも何も考えてこなかったせいでここまで来ちゃったというか。

渡辺:考えられていたら、もっとマトモに生きてきたと思いますしね。

ー著書でも、長谷川さんが弟のパソコンを質屋に入れたというエピソードで爆笑しました。

渡辺:いやあ、どうかしてますよ。

長谷川:危うく犯罪者になるところでしたよ!

渡辺:犯罪者なんだよ(笑)。しかもそれをクルマで売りに行ってますからね。まずオメーのそのクルマ売れよ!って。

長谷川:しかもデスクトップでしたからね。あの時はパニックになっていたとはいえ、我ながらどうかしてますよね。

渡辺:弟さんの二度見が見たかったなあ(笑)。

長谷川:PCのあった場所に点点点点…ってマンガみたいにね(笑)。

ー長谷川さんが56歳になるラストイヤーまで『M-1』には出場すると公言されていますが、お2人の今後の野望を聞かせてください。

長谷川:冠番組とは言わずとも、レギュラー番組は持ちたいですね。同じ番組で準レギュラー的に何度か呼んでいただくことはあるんですけど、毎週同じスタッフさんや共演者さんと一緒に番組を作っていくっていうのをまだやったことがないので。で、オンエア見てあーだこーだ言ったりね。ライブの延長線上を地上波でやるというか。

渡辺:僕はテレビの仕事をやりつつ、漫才も続けていきたいと思っています。漫才やらなくなったらマジで普通のおじさんになっちゃうし、おじさんがテレビで喋ってるだけなのはみっともねえなーって。こうやってテレビに出られるようにしてくれたのも『M-1』のお陰ですし、漫才には一生かけて恩返しをしなきゃなって感じています。



<書籍情報>


ⒸSHINCHOSHA

錦鯉(長谷川雅紀・渡辺隆)
『くすぶり中年の逆襲』
発売中
体裁:四六判・176 ページ
価格:1430 円(税込)
発行・発売:株式会社 新潮社
『くすぶり中年の逆襲』

目次
[まえがき]長谷川雅紀
[第1章]2021 年の錦鯉
コンビ結成10年目で、歯が10本ない!/『M-1』決勝の舞台裏/激動の2021年/あの番組に出たい!/街を歩けない!?/家族の反応
[第2章]それぞれの生い立ち
子供のころ/隆の謎/長谷川家の苦難/影響を受けた「笑い」/グレなかった理由/思春期の頃/隆の青春時代
[第3章]芸人になる!
高校卒業時の二人/渡辺家の悲劇/タカアンドトシとの出会い/東京 NSC/雅紀、デビュー/笑いは「気づき」と「築き」/「前に出ない」二人/ 雅紀、東京へ/他人と比較しない
[第4章]売れない! 三人で始まった東京生活/お笑いに年齢制限!?/極貧生活の日々/雅紀の食生活/笑いは「伝わる」こと/二度目の解散
[第5章]くすぶり中年の逆襲
二人の出会い/錦鯉、誕生/バカになれ!/確立した錦鯉スタイル/ダメだから分かること/突然の悲報/同じ景色を見よう!/悔しい!/ 錦鯉、これから
[あとがき]渡辺隆

Rolling Stone Japan 編集部

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