原田珠々華が語る、不安の中でも“光”を見失わず歌い続ける理由

―「秘密」は、さよならポニーテールのマウマウさんがアレンジを担当しています。これはどうやってできた曲ですか。

さよならポニーテールさんのことは好きでよく聴いて、この曲を作っているときに、「これはさよならポニーテールさんに歌ってもらいたいな」みたいに思っていて。スタッフさんにも「この曲さよならポニーテールさんぽいね」って言われて、私もそんな感じで作ったことを話したら、「アレンジをお願いしてみようか?」という話になって、実際にアレンジしてもらうことになったんです。もともとは弾き語りの曲なんですけど、曲の中でも、歌い方をいつもと変えてみたり、ちょっと高めに出す声とハスキーに出す声を重ねたり、いろいろと試行錯誤して作りました。この曲はミニアルバムの中でもすごく好きで、アレンジが上がってきたのを聴いた瞬間に、すごく良くなってると思いました。さよならポニーテールさんが関わってくれたからこそ、どんどん良くなっていったんだなと思うので、それこそ一番気に入っている曲です。

―“君”に向かって歌っている印象ですが、どんなテーマで書いた歌詞なんでしょうか。

いろいろ言えると思うんですけど、実際に私が作りながら考えていたのは、「アイドルとファンの関係性」みたいなことなんです。わかり合えるはずはないけど、でもお互いにわかり合いたいみたいな気持ちだったり。私がアイドルからセカンドキャリアでシンガーソングライターをやっている中で、アイドル時代の私とシンガーソングライターの私に切り替えられないというファンの方の声も聞くんです。そういう感情について、私が一方的に諭しているような感じです(笑)

―ファンの人に対する気持ちって、アイドル時代と今とでは原田さんの中では変化しているんですか?

私の中ではあんまり変わってないんですけど、ファンの人の方が感情とかの移り変わりは激しいかなって思っていて。今のファンの方は、アイドル時代の私を知らない人が多いですし、きっとアイドル時代を好きだった人は、やっぱりあの頃のままの私を思い浮かべてると思います。私の中では、みんなそれぞれの好きな部分があったり大切だったりするんですけど、今はなかなか私から会いに行ったりはできないので。ちょっとそういう切なさもありつつ、元気でいてくれればいいなと思っています。

―そういうファンの人の声って、SNSでチェックします?

昔よりは少なくなったんですけど、昔からエゴサする方でした。

―アイドル時代の原田さんを知らないファンが多いということは、SNS上で見る反響も変わってきますよね。

いまだに、アイドルをやっていたと言うと驚かれます。活動していく上で、応援してくださる方やフォロワーの方はどんどん増えていますけど、それで有名になったとか実感はなくて。「この9千人とか1万人っていう人たちが、本当に存在するのだろう?」っていう風に思ってます(笑)

―それは、ライブができずに「自分はただ普通の人間なんだな」と思った感覚と近いんじゃないですか。

私は、8歳ぐらいから芸能活動をしていて、そこから絶えず芸能に携わるお仕事を日々してきていたので、コロナ禍で半年以上何もなくて、家でぐーたらしている日々だったので、自分を過大評価していた部分もあって反省したりしたんです。それこそ、SNSでこんな大勢の人が私のことを知ってるなんて変な感じだなって思ったりはしました。

―その結果、「良い曲を書くしかないんだ」って、自力で辿り着いたというのはすごいですね。

それはやっぱり、ファンの方がかけてくれた言葉とかが大きかったのかなって思います。

Rolling Stone Japan 編集部

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