ポストパンクの伝説、ヤング・マーブル・ジャイアンツの感性を育んだ10枚のアルバム

ヤング・マーブル・ジャイアンツ(Photo by Andrew Tucker)

80年代初頭、ポストパンク・シーンに、一枚のアルバムを発表して伝説になったバンド、ヤング・マーブル・ジャイアンツ。その名盤『Colossal Youth』(80年)の40周年記念盤の国内盤リリースにあわせて、ヴォーカルのアリソン・スタットンに先ごろインタビューを行った。お気に入りの作品を選んでもらって、そこから音楽的なルーツを解き明かすという企画だったが、その続編として今回はギターのスチュアート・モクサムに話を聞いた。メールでのインタビューということもあり、YMGのサウンド同様、シンプルな回答だが、そこにはスチュアートの豊かな音楽性や知性が伝わってくる。


―選盤ありがとうございます。この10枚のアルバムは、どういった基準で選んだ作品なのでしょうか。

スチュアート:今回選んだアルバムは、すべて僕が何度も聴いたアルバムなんだ。

ー各作品についてコメントをお願いします。その際にあなた個人やYMGに影響を与えたところがあれば教えてください。

1. Eiks『A Morsel Of Love』(2013年)

スチュアート:このアルバムは美しくて穏やかな曲のコレクション。日本の日常に潜在する美を彷彿とさせる珍しいコードと歌詞が駆使されているアレンジとプロデュースも素晴らしい。



2. ブライアン・イーノ『Another Green World』(1975年)

スチュアート:ブライアン・イーノの独特のスタイルで出来上がった多様多彩な曲がぎっしり詰まった作品。



3. ブラインド・フェイス『Blind Faith』(1969年)

スチュアート:僕が初めて買ったスーパーグループによるLP。それがこの作品の全てを物語っている。



4. ザ・ビートルズ『A Hard Day’s Night』(1964年)

スチュアート:このLPは、子どもの頃に僕が大好きだった叔母からもらったレコード。今だにパーフェクトなポップ・アルバムだと思う。



5. レナード・バーンスタイン『West Side Story』(1961年)

スチュアート:僕が幼少期の頃影響を受けたもう一枚の重要なアルバム。父親がこの映画を見に映画館に連れて行ってくれたんだけれど、僕にとって、この作品は未だに音楽の花火が詰まった箱。とてもエモーショナルで、パワフルで、洗練された音楽。



6. ニール・ヤング『After The Gold Rush』(1970年)

スチュアート:不満を抱えたティーンエイジャーにとって、このアルバムはすごく励みになる作品だった。最初のガールフレンドと一緒にしょっちゅう聴いていたよ。



7. ジョニ・ミッチェル『Hejira』(1976年)

スチュアート:その後のガールフレンドが持っていたレコード・コレクションからの一枚。この作品は啓示であり、詩において私的な見解が表現されている。ソングライティングとギターのプレイスタイルもユニークだ。



8. エマーソン・レイク・アンド・パーマー『Pictures At An Exhibition』(1971年)

スチュアート:この作品を聴いてから、僕のロシアの交響曲への生涯変わらぬ愛が芽生えたんだ」



9. レッド・ツェッペリン『II』

スチュアート:僕が15歳の時、一番オシャレなレコードだった。初めて聴いた時から魅了されたんだ。



10. V.A.『Amacord Nino Rota』(1981年)

スチュアート:このアルバムは、私の兄であるフィル(・モクサム:YMGのベーシスト)からもらった作品。このアルバムに飽きたことは一度もない。僕はフェリーニのファンで、この音楽は僕を彼のファンタジーの世界へ連れていってくれるんだ。


Translated by Miho Haraguchi

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