ポストパンクの伝説、ヤング・マーブル・ジャイアンツの感性を育んだ10枚のアルバム

YMGとその後の音楽人生について

ーあなたはどんな音楽環境で育ったのでしょう。

スチュアート:僕は普通の音楽環境で育った。音楽を愛する家庭に育ち、家では賛美歌からブログレッシヴ・ロック、ギルバート・アンド・サリバンに至るまで様々な音楽がかかっていたよ。今回選んだトップ10はよく知られた作品が多いけど、そこにはジョニ・ミッチェル、レナード・バーンスタイン、ブライアン・イーノのような密かに先鋭的な要素が多く含まれている。作品の内容とそこから何を感じるかは、聴き手の聴き方によって変わるものだからね。

ーYMG結成当時、あなたはパンク・シーンをどのように見ていましたか? 同世代のアーティストで刺激を受けたアーティストはいますか?

スチュアート:僕はパンクは好きではなかった。僕にとってパンクは粗野で子供じみた革命だったし、音楽への関心も感じられなかったから。


Photo by Andrew Tucker

ーYMG独自のスタイルはバンド結成時からヴィジョンとしてあったのでしょうか? それとも試行錯誤しながら生み出されたもの?

スチュアート:始めからヴィジョンとして持っていたものだ。でも、それを実際形にするためには色々と考えなければいけなかったけれどね。

ー『Colossal Youth』はポスト・パンクを代表するアルバムで今も影響を与え続けています。このアルバムのどんなところが人々を惹きつけるのだと思いますか?

スチュアート:素晴らしいアイディアがギュッと詰まっているからだと思う。すべてにおいて最大の価値が与えられた作品だからね。



ーYMG解散後、あなたはThe Gistをスタートさせます。YMGをポップに発展させたようなサウンドでしたが、The Gistであなたが目指したことは?

スチュアート:The Gistは、とにかく音楽を作り続けるために始めたんだ。



ーあなたがルイ・フィリップと共作した2枚のアルバム(『Huddle House』『The Devil Laughs』)が大好きです。彼との共同作業はいかがでした?

スチュアート:ありがとう。フィル・モクサム以降、僕が音楽的にビビッときた最初の人物がルイスだった。彼と僕の音楽性は正反対だけれど、それがうまく機能するんだ。彼は僕にとって寛容で素晴らしい友人の一人でもある。



ー最近の音楽シーンで気に入っているミュージシャン、作品があれば教えてください。

スチュアート:昔はお金がなくてレコードが買えなかったけど、今はほとんどの人々がシングルをストリームするようになった。でも、僕はフリート・フォクシーズのヴァイナルをいまだに買ってるよ。

ー今のあなたから見て、YMGの3人の若者達はどんな風に見えますか?

スチュアート:僕自身はソングライターとして成功することを強く目指していた。この意欲が、僕をエネルギッシュでクリエイティブで生意気な若者にしていたと思う。フィルはあまり一般的ではないやり方でベースにハマっていた。だからこそ、YMGのサウンドでベースが大きな役割を果たしていたんだ。サウンドの前面に出てきていたし、メロディックだったし、多様な素晴らしいサウンドを奏でていたからね。キックドラムのビートの単なるパートナーではなく、それ以上の存在だった。あと、アイディアに対して最終決定権も持っていたのもフィル。アリソンは昔も今も静かに覚悟をきめる。当時の彼女は、僕が書いたメロディーと歌詞を歌うために自分のエゴを捨てていたよ。

ーYMGのお気に入りの曲を1曲、教えてください。できれば、その理由も。

スチュアート:「N.I.T.A.」だな。この曲は個人的にものすごくノスタルジーを感じるんだ。

【関連記事】ヤング・マーブル・ジャイアンツを構成する5枚 アリソンが語るポストパンクという青春






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Translated by Miho Haraguchi

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