2021年の年間ベスト・メタル・アルバム10選

7位 ポータル『Avow』

エクストリーム・エクスペリメンタル・メタルのポータル(Portal)はオーストラリアのバンドということになっているが、この6枚目のアルバムは、まるで最も不快で忌み嫌われる奈落の底でレコーディングしたかのようなサウンドだ。オープニングの「Catafalque」「Eye」からラストの「Drain」まで、怒涛の攻撃が続く。チェーンソー・ギターがいつでも皮を剥いでやると隙を伺い、ドラムはまるで、新たに地獄へ堕ちた新参者に近づく巨大な悪魔の足音のように激しく鳴り響く。ヴォーカルのザ・キュレーターが悪の呪文を次々と吐き出すたびに、リアルに地獄の腐敗臭を感じるような気がする。本作を最後まで聴いても生き残った人には、同時リリースのアンビエントノイズ・アルバム『Hagbulbia』もお勧めする。(by DAN EPSTEIN)



6位 トリビュレーション『Where the Gloom Becomes Sound』

ミステリアスで邪悪ながら、スリリングな映画を思わせる、スウェーデン出身のデス・プログ・サイケ・メタル・バンドによる5枚目のアルバム。前作『Down Below』(2018年)からさらに壮大なゴス色を強めた本作では、アリーナを意識した曲作りがますます顕著になっている。「Hour of the Wolf」「Leviathans」「Daughter of the Djinn」といったダークでドラマチックなアンセムは、明らかに会場の最後尾まで広がるサウンドを意図して書かれているものの、悪臭が漂う遺体安置所の雰囲気は残している。結成メンバーの一人でギタリスト兼ソングライターだったヨナタン・フルテン抜きでのバンドの方向性は、未知数だ(彼は本作のリリース後に脱退した)。しかしトリビュレーション(Tribulation)は本作によって、バンドとしての最初の1ページを輝かしい勝利で締めくくった。(by DAN EPSTEIN)



5位 コンヴァージ『Bloodmoon: I』

ハードコアのレジェンドであるコンヴァージ(Converge)は、2016年から、ゴシック・フォークの女司祭チェルシー・ウルフと彼女の音楽パートナーであるベン・チザムや、ケイヴ・インのスティーブン・ブロドスキーらとのコラボを続けてきた。我々は長く待った甲斐があった。いわゆる“スーパーグループ”のプロジェクトによく見られる、妥協や手加減は一切ない。メンバー全員がそれぞれのビジョンと才能を発揮してベストを尽くした結果、記憶に残るポスト・メタル作品が出来上がった。メロディアスかつアトモスフェリックな激しくスカッとする一連の楽曲は、参加したメンバーの過去の作品と比較しても特に際立っている。今からもう『Bloodmoon: II』が期待される。(by DAN EPSTEIN)


Translated by Smokva Tokyo

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