2021年の年間ベスト・メタル・アルバム10選

4位 カーカス『Torn Arteries』

リヴァプール出身のエクストリーム・メタル・バンド。再結成後の2013年にリリースされたアルバム『Surgical Steel』では、バンド初期の高速テンポの曲調と、1996年の活動休止時期までに磨きをかけ洗練されたロックンロールとを融合させて、見事に歴史を書き換えた。バンド第2章の2ndアルバムとなる本作で、彼らはついに閉じ込められていたサウンドの殻を破って進化を遂げた。10分間の壮大な組曲「Flesh Ripping Sonic Torment Limited」や、ミドルテンポでハードなグルーヴを効かせた「Eleanor Rigor Mortis」から、聴き慣れた激しいデス・スラッシュまで、過去の作品にはない幅広さを見せつけている。バンドとしての音楽的な幅を広げつつも、カーカス(Carcass)になくてはならないジェフ・ウォーカーの発する毒のある強烈なグロールや、ビル・スティーラーの完璧なリフ・ワークは健在だ。(by HANK SHTEAMER)

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3位 ゴジラ『Fortitude』

煌めくギターハーモニクスとピッチに変化を付けた高音のフィードバックに絡む魂のシャウト。本作は、ノイズがメロディーを圧倒する瞬間を美しく感じさせる。フランス出身の屈強な男たち、ゴジラ(Gojira)による7枚目のスタジオアルバムは、彼らの代名詞でもあるノリの良いギターリフと陶酔できるメロディーが、見事に融合している。さらに、いつまでも聴き続けたくなるような心地良さが、そこかしこに散りばめられている。本作ほど多くのテクスチャーが絡み合った作品は、ストレートで純粋なサウンドを信条とするメタルには珍しい。さらに、森林破壊(「Amazonia」)、人間の強欲さ(「Born for One Thing」)、全体主義(「Into the Storm」)など社会の不公正を糾弾するギタリスト兼ヴォーカリストのジョー・デュプランティエによる見事な表現力が、本作の重み(ヘヴィさ)をさらに増している。(by KORY GROW)


Translated by Smokva Tokyo

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