2021年の年間ベスト・メタル・アルバム10選

2位 マストドン『Hushed and Grim』

マストドン(Mastodon)の過去数枚のアルバムは、キャリア半ばのコンフォートゾーンに頼った作品だった。彼らのプログレ・メタル・バンドとしての特性が発揮された『The Hunter』(2011年)から2017年の『Emperor of Sand』までは、リスナー受けするお決まりの路線から外れようとしていない。ところが本作『Hushed and Grim』ではリスナーに対する大胆な挑戦状を叩きつけ、見事に成功した。90分間に近い彼らの過去最長時間のアルバムだというだけでなく、タイトルに相応しいムーディーな作品に仕上がっている。「Had It All」でどっぷりとバラードに浸かったと思えば、「The Beast」では哀愁漂うロカビリーを聴かせている。また、マストドン史上最もメロディアスなロック曲と言える「Teardrinker」や「Pushing the Tides」から、「More Than I Could Chew」や「Gobblers of Dregs」といった荘厳な大作まで、実に幅広い音楽が展開する。アルバム全体を見渡すと、我々が好んで聴いた70年代の見開きジャケットの名盤に通ずるものがある。(by HANK SHTEAMER)



1位 アイアン・メイデン『Senjutsu』(邦題:戦術)

「Run to the Hills(邦題:誇り高き戦い)」や「The Trooper(邦題:明日なき戦い)」などの名曲の焼き直しを望むファンもいるかもしれないが、ベテランのヘッドバンガーたちは、決して後ろを振り返らない。17枚目のアルバム『Senjutsu』は、彼らの最もプログレッシブな傑作と言える。ケルト民謡を彷彿させるバンドの特徴的なギターリフは健在で、フロントマンのブルース・ディッキンソンも、ジョン・ヘンリー張りに空襲警報との戦いに勝利する態勢を整えている。しかしバンドは2015年のアルバム『The Book of Souls(邦題:魂の書~ザ・ブック・オブ・ソウルズ~)』以降、40年前よりも複雑な曲の構成と洗練された歌詞により、ソングライティングの質をさらに向上させている。本作に収録された大作「Hell on Earth(邦題:この世の地獄)」や「The Time Machine(邦題:タイムマシーン)」は圧巻で、リスナーは彼らの行く方向へグイグイ引き寄せられる。アイアン・メイデン(Iron Maiden)はレジェンドであると同時に、今なお時代の先駆者でもあるのだ。(by KORY GROW)

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From Rolling Stone US.

Translated by Smokva Tokyo

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