モー娘。小田さくらが語りつくす、武道館コンサートの裏側とこれからの話

各々が持つ責任感とか正義

—今回のリハーサル全体を通してメンバーの様子をどう見てました?

小田:最近のモーニング娘。は、みんなで作っていく雰囲気があります。後輩がつまずいていたら、先輩がさっと教える。私はリハ期間中、一回もいっぱいいっぱいにならなかったんですけど、「この子が?」っていう子が思い詰めていたり、弱っていたりするのを見て、いつもとは違うコンサートを作ろうとしてるんだなってすごく感じました。私はハッピー野郎なので(笑)、毎日メンバーと集まれてうれしいと思ってました。でも他の子は自分の実力不足をリハーサル中に感じたり、身体を痛めて辛かったりしたこともあって。私は(身体が)痛くなった時に、痛くなったから本番ちゃんとできるようにと考えるんですけど、それ自体が悔しくなっちゃう子もいるので。だからみんな各々の責任感とか正義があるんだなとあらためて感じました。この2年の間で、みんな変わったなってすごく感じます。

—成長の跡が。

小田:みんな精神的にめちゃめちゃ大人になってますね。実力の成長云々は、それはそれとして、人として内側の成長を感じました。一番感じたのは、ちぇる(野中美希)ちゃんが同じところを何度も練習してた時です。時間さえあればずっと同じパートだけを歌ってて、これまでだったらそういう時って誰かが一緒に口ずさんだり、話しかけたりしてたんですけど、そういうのが一切なくて本人の気持ちをみんなが優先してたんです。

—いい話ですね。でも確かに、2年間っていう時間を考えたら、もちろんストイックにやらなきゃいけない部分も大事だけど、楽しい気持ちも爆発しちゃいますよね。

小田:私は最初はしゃぎすぎたんで、すごく自覚してます(笑)。私、そんな中でも周りの声が冷静に聞けるんですけど、私の声で聞けない人もいるかもしれないわけだから気をつけようと思いました。

—その一方で、佐藤さんの卒業コンサートという特別な意味合いもあって。

小田:佐藤さんが卒業の雰囲気出されるのをすごく嫌がるし、本人もその雰囲気をずっと出さなかったこともあって、コンサート前はむしろみんな自分のことでいっぱいいっぱいだったと思います。佐藤さんって普段からフラーっていなくなる人で、今もそういう感じでいないだけなんじゃないかなって。またいないじゃん、そんな感覚に今でもなります。

ーコロナ禍の前の武道館の卒業コンサートと今回を比べてみると、形式的には全然違うものになりましたよね。

小田:違いましたね。全てがプレミアムすぎて。2年ぶりの単独コンサートということと、佐藤さんの卒業コンサートということの両方があって、ライブビューイングの動員数が過去最高だったみたいで、そういうところでガッて爪痕を残していくのも、佐藤さんの持ってるものだなって思います。そういうところはずっと羨ましかった部分です。特別なタイミングで何かをする人なので。それを狙ってできるし、狙わずともできる人。最後の最後までそういうところずるいなぁって、卒業まで貫いたなって思います。

—「卒業コンサートっぽい雰囲気」を出さないということを尊重して、セレモニーをやらなかったんですか? 

小田:そうです。佐藤さんの要望とコロナの状況も鑑みてセレモニーはやらなかったんです。セレモニーはしっかりやったら20分くらいかかってしまうので、それよりも多くの曲を歌いたいというのが本人のリクエストだったので、とにかく曲をひたすらやるってコンサートになりました。曲が多かったのでちょっと体力も心配でした。

—2年ぶりですからね。

小田:けど全然平気でした。みんなこの2年間で全然衰えてないんだなって思いました。モーニング娘。って感じがして、すごくいい時間でした。


Photo by Rika Tomomatsu

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